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評価用ボード

型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。

  • EVAL-CN0160-EB1Z Universal Serial Bus USB Peripheral Isolator Circuit
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回路機能とその特長

USB(ユニバーサル・シリアル・バス)は急速に広まり、ほとんどのPCの周辺装置用の標準インターフェースになりつつあります。これは、優れた高速性、柔軟性および周辺装置とのホットスワップのサポートなどの理由で、RS232やパラレル・プリンター・ポートに置き換わっているからです。工業や医療機器の製造にも、このバスを使うことに対する強い要望がありますが、この採用は遅々としています、それは危険な電圧を制御する機械へ接続するために必要な、あるいは医療機器での低リークの耐除細動のために必要な、アイソレーションを提供する良い方法がないためでした。

ADuM4160 は、それほど高価でなく容易に、医療機器や工業用周辺装置向けのアイソレート・バッファを実現します。以下は今後の課題となる項目です:

  1. USB・D+とD−ラインを、直接的にアイソレートして、マイクロプロセッサ内に実在するUSB基盤の使用を可能にする。
  2. 外部制御ラインを使う必要なく、制御データの流れに対する自動的なスキームの導入を可能とする。
  3. メディカル・グレードのアイソレーションを提供する。
  4. 周辺機器をUSB認定規格に完全に準拠するようにする。
  5. フルスピード(12Mbps)とロースピード(1.5Mbps)の信号レートをサポートする。
  6. 柔軟な電源構成をサポートする。

図1に示す回路は、すでにUSBインターフェースを備えている周辺装置をアイソレートします。この回路では、周辺装置は明確に定義されていませんので、アイソレータの2次側を動作させるパワーは、このソリューションの一環として提供されています。もしこの回路が周辺装置設計のPCB上に構築されるならば、パワーは、アプリケーションの必要性に応じて、周辺装置とは切り離された電源、バッテリあるいはUSBケーブルのバス・パワーから供給することができます。

ここで示されたアプリケーション回路は、多くの医療および工業アプリケーションに適用します。

図1. USB周辺装置のアイソレート回路

回路説明

アップストリームのUSBコネクタに関するパワーは、USBケーブル上の5VのVBUS電圧から供給されます。周辺装置は全ての信号と、ADuM4160がない場合には、必要とされるプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗を提供しなければなりません。ダウンストリーム側のパワーは、電源アダプタとADP3338 LDOレギュレータ(5V用)によって供給されます。このLDOは、非常に小さなドロップアウト電圧性能を持っているので、電源アダプタでの供給電圧安定化要求を軽減します。この小型サイズ(SOT-223)で1Aの電流能力は、周辺機器が動作するためにケーブル・パワーを必要とするような場合、このような汎用性を必要とする回路にとっては、理想的といえます。

ADuM4160には、パワー、スピードおよび保護機能に関するいくつかのオプションがありますので、それを決める必要があります。最初は、周辺装置の動作時でのスピードとなります。周辺装置は、3種類のスピードのうちの一つで動作します:すなわちロースピード(1.5Mbps)、フルスピード(12Mbps)、ハイスピード(480Mbps)、のうちのどれか1つで動作します。ADuM4160はハイスピード動作をサポートしません。そしてスピードを交渉するために使われるハンドシェーク信号をブロックします。ハイスピード・モードはフルスピードの構成で始まり、周辺装置が、ハイスピード・チャープと呼ばれる処理を通してハイスピードのサポートを要求します。ADuM4160はハイスピード・チャープを無視しますので、ハイスピード動作に関する要求は決してホストには伝えられません。したがって周辺装置はフルスピードでの動作を継続します。 USBバス上の周辺装置のスピードは、ロースピードまたはフルスピードのどちらかになります。周辺装置がスピードの要求をしてスピードを決める場合があります。ADuM4160は、SPUおよびSPDピンの状態を介して、この速度にマッチするように設定する必要があります。回路図中では、SPUとSPDピンはお互い内部でレギュレートされた3.3Vの電源電圧、VDD1とVDD2、に接続されており、フルスピード動作に設定されています。

パワーはVBUSxピンを通した5Vで提供されることができ、3.3Vの信号用電圧は、VDDxピンでの内部3.3Vレギュレータによって作られています。代案として3.3VパワーはVBUSxとVDDxに提供することもでき、この場合、内部レギュレータをディセーブルにして直接外部電源を使います。

このオプションでは、ADuM4160が5VのUSBケーブルから、または周辺装置によって供給されることのできる5Vか3.3Vレールで動作できることになります。示されている回路では、各側から5Vを入力するように接続されており、内部レギュレータはアクティブになっています。

ADuM4160は、周辺の制御の下でアップストリーム側のプルアップの投入を遅延するオプション機能を備えています。この機能は、PIN入力によって制御されます。このアプリケーションにおいては、PIN入力はハイにジャンパされていますので、周辺装置の電源が印加されると直ちにアップストリームのプルアップが印加されます。いくつかのアプリケーションでは、これはコントローラのGPIOピンに接続や、固定の遅延回路を与えることができるだけでなく、この回路のように接続することも可能です。どのようにこの機能を使うのかは、設計者の選択となります。

この回路では保護用デバイスが使われています。これらのデバイスは、入手可能な幅広い部品を持った製造元から選びました。特に、これらを回路からはずした場合0Ωショートによって置き換えることの可能な部品が選ばれています。保護回路の選択は設計者によって再考されるべきで、外部保護が必要のない場合から、トランジエント抑圧やフィルタ素子の完全な部品を必要とする場合など、いずれにも適応できるべきです。この回路に含まれている回路素子は、標準的な高電圧保護の構成を示しています。

回路が機能しているとき、パケットが検出されデータはアイソレーション・バリアの片側からもう一方に流れます。図2と図3に示されたデータは、標準的なフルスピードの伝送を、時間軸データとしてのアイ・ダイアグラムとしての両方で表示しています。リアルタイム・データで留意する特長は、パケットの始めでは受動的なアイドル状態Jであり、この状態からドライブに移行し、伝送が終了するとシングルエンドのゼロ状態の後に続くアイドル状態Jになります。 これは制御の自動的な流れで、これらの特別なロジック状態のハンドリングを可能とするADuM4160チップは、市場ではまれな製品といえます。

下記の図2と図3に示したデータは、USB-IFの信頼性過程の一部として生成されました。図2は、ADuM4160のアップストリーム・ポートからホストへのテスト・データのパケットを示しています。特筆する領域は、パッシブ抵抗ネットワークがアイドルJ状態をホールドしているところが、最初のアイドル状態です。パケットの中心部はJ状態とK状態にミックスとなっています。パケットの右側はEOP(パケットの最後尾)マーカで、これは駆動されるアイドルJに移行する、Jに続くシングルエンドの0です。

Full Speed Test Packet Traffic Driven
図2. アップストリームADuM4160ポートによって駆動される、フルスピードのテスト・パケット・トラフィック

 

以下は、適応可能なテスト・リファレンスです: 

  • アップストリーム・フルスピード信号品質テスト・レファレンス—USB2.0規格、セクション7.7.11、セクション7.1.2.1.
  • アップストリーム・フルスピード立ち上がり時間テスト・レファレンス—USB2.0規格、セクション7.7.11、セクション7.1.2.2.
  • アップストリーム・フルスピード立ち下がり時間テスト・レファレンス—USB2.0規格、セクション7.7.11、セクション7.1.2.2.

図3は、フルスピードのアイ・ダイアグラムで、ADuM4160がキープアウト領域で良好な状態を継続し、充分なオープン・アイを提供していることを示しています。同じようなデータが、ロースピードの評価テストにおいても見受けられます。

Full Speed Eye Diagram Showing Exclusion Zone
図3. 禁止領域を示した、フルスピードのアイ・ダイアグラム

 

標準的なアプリケーション回路の写真が図4に示されています。ADuM4160評価用ボード(写真の左側のボード)は4チャンネル、12/10/8ビットでI2C互換インターフェースを備えたAD7991評価用ボードに接続されています。このADC評価用ボードは周辺装置として動作し、USBポートを介してPC(ADCのテストおよび評価のために)とインターフェースされます。これは、ADuM4160のUSBポートとADCの評価用ボード間の完全アイソレーションを提供します。

この回路は高速のエッジ速度を伴っているため、システムのEMI/RFIテストをパスさせるためには、優れたレイアウト、デカップリングおよびグランディングのテクニックを用いる必要があります。これらのガイダンスとして、チュートリアルMT-031チュートリアルMT-101(英語)および AN-0971アプリケーション・ノートを参照してください。この回路ノートに関する完全な設計サポート・パッケージはhttp://www.analog.com/CN0160-DesignSupportで入手できます。 

Photo of ADuM4160 USB Evaluation Board
図4. ADuM4160・USB評価用ボードにAD7991評価用ボードのUSBポートを接続した写真

バリエーション回路

システムの必要に応じて、他のリニア・レギュレータを代替として使うことも出来ます。詳細については、設計ツール ADIsimPower参照してください。

回路の評価とテスト

この回路ノート内で説明されているADuM4160評価用ボードのアイソレーション・アダプタは、評価およびテストのために使われています。詳細な回路図とテスト・セットアップで使われている回路ボードの回路図と写真は図1と図4に示されています。


必要な装置

必要となる装置類:ウインドウズ® XPまたはVistaのPC、USBデータ・ポート接続、ADuM4160評価用ボード・アイソレーション・アダプタ、EVAL-7991EBZ評価用ボードとAD7991評価用ソフトウエア、USBケーブル2本、高速デジタル・オシロスコープ


評価開始にあたって

この回路ノートに説明されているテスト・セットアップの回路、回路図に加えて、ADuM4160評価用ボードのアイソレーション・アダプタに関する詳細、回路図、ガーバ・ファイル、部品表、などはhttp://www.analog.com/CN0160-DesignSupportから入手可能です。


機能ブロック図

説明されているテスト・セットアップに関する回路図やその他の情報に関しては図1を参照してください。