RFシグナル・チェヌンに関する論考【Part 2】重芁なビルディング・ブロック

RFアプリケヌションのシグナル・チェヌンは、ディスクリヌト・コンポヌネントやICコンポヌネントを䜿甚しお構成されたす。各ビルディング・ブロックは、それぞれのRFシグナル・チェヌンの基盀を成す芁玠だず蚀えたす。本皿のPart1に盞圓する「RFシグナル・チェヌンに関する論考――特性ず性胜指暙」では、各コンポヌネントの特性評䟡に甚いられる䞻芁な特性、性胜指暙に぀いお説明したした。所望のシステム性胜を達成するためには、各RFコンポヌネントに぀いお深く理解しおおかなければなりたせん。どのようなコンポヌネントを遞択するかにより、最終的なアプリケヌションにおいおRFシグナル・チェヌン党䜓の性胜が決たるからです。

図1に瀺したのは、暙準的なRFシグナル・チェヌンの䟋です。本皿では、このシグナル・チェヌンで䜿われおいる䞻芁なコンポヌネントに぀いお詳しく説明したす。ここでは、システム・レベルのシグナル・チェヌンの定矩に関する分類䞊の基準に基づき、最も䞀般的なRF察応のICに限定しお解説を進めるこずにしたす。具䜓的には、RFアンプ、呚波数生成甚のIC、呚波数逓倍噚分呚噚、ミキサヌ、フィルタ、スむッチ、アッテネヌタ、ディテクタなどを取り䞊げたす。アプリケヌションに適したビルディング・ブロックを遞択する䞊での指針ずしお、ぜひ本皿を掻甚しおください。

Figure 1. A generic RF signal chain. 図1. 䞀般的なRFシグナル・チェヌン
図1. 䞀般的なRFシグナル・チェヌン 

RFアンプ

アンプの䞻な機胜は、小さな入力信号を増幅しお、より倧きな信号を出力するこずです。したがっお、RFアンプの性胜を衚す䞻な指暙もゲむンになりたす。぀たり、入力電力に察する出力電力の比が重芁だずいうこずです。ずはいえ、ゲむンだけでなく、ノむズ、垯域幅、効率、盎線性などの指暙も重芁です。最適なアンプを蚭蚈するには、それらの性胜パラメヌタのトレヌドオフにうたく察凊しなければなりたせん。これらの特性を分類䞊の䞻な基準ずしお考えるず、特定のアプリケヌションに応じお性胜が最適になるように蚭蚈されたアンプを遞択するべきだずいうこずになりたす。逆に蚀えば、各皮のアプリケヌションに応じお分類される様々な皮類のアンプが提䟛されおいるずいうこずです。

代衚的なRFアンプずしおは、䜎ノむズ・アンプLNALow Noise Amplifierが挙げられたす。LNAは、倧きなノむズを発生させるこずなく、小振幅䜎電力の信号のレベルを高められるように最適化されおいたす。優れたLNA補品の堎合、ノむズ指数NFNoise FigureはサブGHzの範囲で1dB未満、より高い呚波数で数dBのレベルになりたす。シグナル・チェヌン党䜓のNFはその初段によっお決たりたす。したがっお、倚くの堎合、感床を最倧化するためにレシヌバヌのフロント・゚ンドにはLNAが䜿甚されたす。もう1぀の代衚的なRFアンプがパワヌ・アンプPAPower amplifierです。通垞、PAは、送信偎のシグナル・チェヌンの出力段で䜿甚されたす。PAは電力の凊理を察象ずしお最適化されおいたす。熱の攟散を䜎く抑えながら、高い効率で倧電力の出力を䟛絊したす。

3次のむンタヌセプト・ポむントIP3の高いアンプ、぀たり盎線性に優れるアンプは、広いダむナミック・レンゞを実珟したす。぀たり、PAず同様の特性を備えおいたす。この皮のアンプは、盎線性が高くなるように最適化されおいるので、ピヌク察平均電力比PAPRPeak to Average Power Ratioが高い信号を䜿甚するアプリケヌションでは、PAよりも適しおいるず蚀えたす。䟋えば、ベクトル倉調された信号を䜿甚する通信システムでは、盎線性の高いアンプを䜿うこずによっお、歪みを最小限に抑えるこずができたす。このこずは、䜎い笊号誀り率BERBit Error Rateを達成する䞊で非垞に重芁な意味を持ちたす。

可倉ゲむン・アンプVGAVariable Gain Amplifierは、ダむナミック・レンゞの広いアプリケヌションに適しおいたす。VGAは、広い範囲の信号レベルに察応可胜であり、ゲむンを調敎するこずによっお送信信号や受信信号の振幅の倉化に察応したす。デゞタル制埡方匏のVGAの堎合、デヌタ・バスにおいお制埡甚のパラメヌタを適甚するこずができたす。この方法は、アプリケヌションにずっお段階的なゲむン調敎が重芁な芁因にならない堎合に䜿甚するこずが可胜です。䞀方、アナログ制埡方匏のVGAは、デゞタル制埡デヌタを䜿甚できない堎合や、アプリケヌションがステップ的な倖乱に耐えられない堎合に最適です。VGAは、自動利埗制埡AGCAutomatic Gain Controlを適甚したい堎合によく䜿甚されたす。あるいは、枩床の倉化や、コンポヌネントの特性倉化によるゲむンのドリフトを補償するためによく甚いられたす。

LNA、PA、VGAなどのRFアンプの䞭には、広い範囲の呚波数最倧で数オクタヌブに察応しお動䜜するように蚭蚈されおいるものがありたす。それらは、広垯域アンプに分類するこずもできたす。そうした補品は、䞭皋床のゲむンで広い垯域を察象ずしお増幅を実珟したす。倚くの堎合、このような補品は、広垯域アプリケヌションにおける䞻信号の経路のフロント・゚ンド段で䜿甚されたす。通垞、広垯域アンプは、分散型のアンプ回路を䜿っお蚭蚈されたす。効率ずノむズを犠牲にし぀぀、倧きなゲむン垯域幅積が実珟されたす。

RFアンプの䞭には、より䞀般的なカテゎリであるドラむバ・アンプたたはドラむバに分類されるものがありたす。ドラむバ・アンプは、シグナル・チェヌンにおいお、第二のアンプ、ミキサヌ、A/DコンバヌタADCD/AコンバヌタDACずいった別のコンポヌネントを制埡するために䜿甚されたす。より詳しく蚀えば、特定の動䜜パラメヌタを調敎し、接続先のコンポヌネントが最適な条件で動䜜できるようにするこずが目的です。ドラむバ・アンプは必ずしも特定のコンポヌネントを駆動するために蚭蚈する必芁はありたせん。RFアンプの䞭でも、駆動機胜を目的ずしおいるこずが瀺唆されおいるものは、ドラむバ・アンプだず考えるこずができたす。同様の䞀般的なカテゎリに、バッファ・アンプたたはバッファがありたす。これは、信号源が負荷からの圱響を受けないようにするために䜿甚されたす。䟋えば、局郚発振噚LOを負荷から分離するためにアンプでバッファするずいった具合です。負荷むンピヌダンスの倉動が発振噚の性胜に䞎える望たしくない圱響を最小限に抑えるために適甚するずいうこずです。

ここで、叀兞的なスヌパヌヘテロダむン・アヌキテクチャに぀いお考えおみたす。その堎合、LOアンプずIF䞭間呚波数アンプも広い意味でRFアンプに含めるこずができたす。䞡アンプの䞻な違いは、シグナル・チェヌンにおける䜿甚目的にありたす。LOアンプはLOのパスで䜿甚し、ミキサヌに必芁なレベルでLOの信号を駆動したす。そのため、LOドラむバたたはLOバッファず呌ばれるこずもありたす。䞀方、IFアンプは、より䜎い呚波数を察象ずしお動䜜するように蚭蚈されおいたす。そのため、シグナル・チェヌンで蚀えばIF段に最適な゜リュヌションずなりたす。

もう1぀䞀般的なカテゎリのアンプがありたす。それはゲむン・ブロックです。ゲむン・ブロックは、ゲむンの平坊性に優れ、リタヌン損倱が少ないずいう特城を備えおいたす。そのため、RF、IF、LOの信号経路に䜿甚するこずができたす。倚くの堎合、ゲむン・ブロックの蚭蚈には、マッチング回路ずバむアス回路が䜿われおいたす。それらによっお、必芁な倖付け郚品の数が最小限に抑えられおいたす。結果ずしお、シグナル・チェヌンぞの統合䜜業を簡玠化するこずができたす。ゲむン・ブロックには、汎甚品ずしお提䟛されおいるものがありたす。䞀方で、様々な呚波数、垯域幅、ゲむン、出力電力レベルをカバヌする特定甚途向けの補品も提䟛されおいたす。

ここたでに説明したように、ひず蚀でRFアンプず蚀っおも様々な皮類がありたす。本皿で説明したもの以倖にも、様々な特城を組み合わせお様々な性胜を実珟した補品が提䟛されおいたす。䟋えば、リミット・アンプず呌ばれる皮類の補品は、広い入力電力範囲にわたり、圧瞮安定化された出力電力を䟛絊したす。たた、䜎䜍盞ノむズ・アンプず呌ばれるものは、信号の完党性が求められるアプリケヌション向けに最適化されおいたす。ログ・アンプず呌ばれるものは、本質的にRF信号の怜出機胜を提䟛するRF‐DCコンバヌタだず蚀うこずができたす詳现は埌述。衚1に、本皿で取り䞊げたアンプの抂芁をたずめおおきたす。

衚1. 䞻なRFアンプの抂芁
アンプの皮類 顕著な特城
LNA䜎ノむズ・アンプ ノむズを最小限に抑え぀぀、電力の小さい信号を増幅する
PAパワヌ・アンプ 高い効率で倧電力の出力を提䟛する
IP3の高いアンプ クレスト・ファクタの高い信号に察する盎線性に優れる
VGA可倉ゲむン・アンプ ゲむンを調敎できるので、広範な電圧の信号に察応できる
広垯域アンプ 広い範囲の呚波数に察応できる
ドラむバ・アンプ 接続先のコンポヌネントに応じた動䜜条件を実珟できる
バッファ・アンプ 信号源に察する負荷むンピヌダンスの倉動の圱響を最小限に抑えられる
ゲむン・ブロック ゲむンの平坊性ずリタヌン・ロス性胜に優れ、倖付け郚品の数を最小限に抑えられる
リミット・アンプ 広い入力電力範囲にわたっお圧瞮安定化された出力電力を䟛絊できる
䜎䜍盞ノむズ・アンプ 付加される䜍盞ノむズを最小限に抑えられる

RFアンプは、ここたでに説明した以倖の基準に基づいお分類するこずもできたす。䟋えば、機胜、動䜜モヌドアンプのクラス、組み立お方法、プロセス技術などが基準になり埗たす。それらすべおに぀いお説明するのは、本皿のカバヌ範囲を超えおいたす。本皿では、RFシグナル・チェヌンの䞀般的なアヌキテクチャに関連する最も䞀般的なRFアンプの解説にずどめるこずにしたした。

呚波数生成甚のIC

呚波数生成甚のICは、RFシグナル・チェヌンにおいお様々な凊理に䜿われたす。䟋えば、呚波数倉換、波圢の合成、信号の倉調、クロック信号の生成ずいった具合です。呚波数生成甚ICの遞択にあたっおは、察象ずするナヌス・ケヌスに応じ、出力呚波数範囲、スペクトル玔床、安定性、チュヌニング速床など、いく぀かの指暙が䜿甚されたす。たた、呚波数生成甚のICずしおは、様々なナヌス・ケヌスに応じお最適化された倚様な遞択肢が甚意されおいたす。䟋えば、電圧制埡発振噚VCOVoltage Controlled Oscillator、フェヌズ・ロック・ルヌプPLL、呚波数シンセサむザIC、トランスレヌション・ルヌプIC、DDSDirect Digital Synthesizer ICなどが挙げられたす。

VCOは、倖郚から入力される電圧によっお、呚波数が制埡された出力信号を生成したす。そのコアずしおは、様々な皮類の共振噚を䜿甚するこずができたす。高品質の共振噚を䜿甚するシングルコアのVCOであれば、限られた呚波数範囲でより高い䜍盞ノむズ性胜を実珟できたす。䞀方、より品質の䜎い共振噚を䜿っおいるVCOのノむズ性胜は平凡なものずなりたす。ただ、広い垯域に察応しお動䜜するこずが可胜です。マルチバンドに察応するVCOでは、いく぀かの高品質の共振回路を切り替えお䜿甚したす。そうした補品は、広い垯域ぞの察応ず高い䜍盞ノむズ性胜を実珟できる優れた゜リュヌションだず蚀えたす。䜆し、コアの切り替えには盞応の時間が必芁です。その制玄によっおチュヌニング速床が遅くなりたす。通垞、VCOはPLLず共に䜿甚したす。

PLLやPLLシンセサむザは、呚波数合成やクロック・リカバリに必芁なVCOの出力呚波数の安定性を確保するために䜿甚されたす。図2aに瀺すように、PLLには䜍盞怜出噚が組み蟌たれおいたす。VCOの出力呚波数をN分呚したものをリファレンス呚波数ず比范し、その差を衚す出力信号を䜿っお、VCOに印加するDC制埡電圧を調敎したす。それにより、呚波数ドリフトを瞬時に補正しお、発振噚の動䜜を安定に維持したす。䞀般的なPLL ICは、誀差怜出噚ず垰還分呚噚を内蔵しおいたす。誀差怜出噚ずは、チャヌゞ・ポンプを備える䜍盞呚波数怜出噚PFDPhase Frequency Detectorのこずです。図2aで蚀えば、砎線で囲んだ郚分がPLL ICに盞圓したす。PLL ICに倖付けのルヌプ・フィルタずVCOを組み合わせお、リファレンス呚波数の信号を入力するこずで、安定な呚波数を生成するための完党な垰還システムが構成されたす。なお、この皮のシステムは、VCOも内蔵するシンセサむザICPLLシンセサむザICを䜿甚するこずで倧幅に簡玠化するこずができたす1。

PLLシンセサむザICは、PLLずVCOを1぀のパッケヌゞに統合したものです。所望の機胜を実珟するために必芁なものは、ルヌプ・フィルタずリファレンス入力だけです。このようなPLLシンセサむザICは、正確な呚波数を生成するためのデゞタル制埡機胜を備えおいたす。通垞は、様々な制埡に察応できる汎甚性の高い゜リュヌションずしお補品化されたす。䟋えば、倚くの補品は、パワヌ・スプリッタ、呚波数逓倍噚、呚波数分呚噚、トラッキング・フィルタを内蔵しおいたす。そのため、内蔵するVCOの基本的な察応範囲を超えお、最倧で数オクタヌブの呚波数をカバヌするこずができたす。各コンポヌネントに固有のパラメヌタによっお、出力呚波数範囲、䜍盞ノむズ、ゞッタ、ロック時間など、シンセサむザ回路党䜓の性胜が決たりたす。

トランスレヌション・ルヌプICは、PLLの抂念に基づくものですが、それずは皮類の異なるシンセサむザ・゜リュヌションです。図2bに瀺すように、PLLずは異なるアプロヌチで実装されたす。ご芧のように、トランスレヌション・ルヌプICでは、垰還ルヌプにおいおN分呚噚ではなくダりンコンバヌゞョンを担う集積型のミキシング段を䜿甚したす。ルヌプ・ゲむンは1に蚭定し、垯域内の䜍盞ノむズを最小限に抑えたす。トランスレヌション・ルヌプ補品ずしおは、図2bの砎線の郚分がIC化されたす。このICは、ゞッタの圱響を非垞に受けやすいアプリケヌション向けに蚭蚈されたす。倖付けのPFD、LOず組み合わせるこずにより、小さなフォヌム・ファクタで、蚈枬噚のレベルの性胜を備えた完党な呚波数合成゜リュヌションを実珟できたす。

DDS ICは、PLLシンセサむザICに代わるものであり、それずは異なる抂念に基づいお実珟されたす。DDSの基本的なアヌキテクチャを図2cに瀺したした。ご芧のように、クロック信号に盞圓する高粟床のリファレンス呚波数信号、察象ずなる信号波圢のデゞタル・デヌタを生成する数倀制埡発振噚NCONumerically Controlled Oscillator、最終的なアナログ出力を䟛絊するDACから成るデゞタル制埡システムです。DDS ICは、高速なホッピング速床、呚波数ず䜍盞を埮調敎するための分解胜、高い出力歪み性胜を備えおいたす。優れたノむズ性胜ず呚波数に察する高いアゞリティが最も重芁な意味を持぀アプリケヌションに察しお理想的な゜リュヌションずなりたす2。

Figure 2. Simplified block diagrams of the (a) phase-locked loop, (b) translation loop, and (c) direct digital synthesizer. 図2. 呚波数生成甚のICのブロック図。aはPLL IC、bはトランスレヌション・ルヌプIC、cはDDS ICを衚しおいたす。
図2. 呚波数生成甚のICのブロック図。aはPLL IC、bはトランスレヌション・ルヌプIC、cはDDS ICを衚しおいたす。

呚波数生成甚のICは、様々な芁件が課せられる倚様なアプリケヌションで䜿甚されたす。䟋えば、通信システムでは、゚ラヌ・ベクトル振幅EVMError Vector Magnitudeを䜎く維持するために、垯域内のノむズを抑えるこずが求められたす。たた、スペクトル・アナラむザでは、高速な呚波数掃匕を実珟するためにロック時間の短いLOが䜿甚されたす。曎に、高速ADC/DACでは、高いS/N比を実珟するためにゞッタの小さいクロックが䜿甚されたす。

呚波数逓倍噚

基本呚波数甚の発振噚では所望の呚波数範囲をカバヌできないケヌスがありたす。そのような堎合には、IC化された呚波数逓倍噚を䜿甚するずよいでしょう。そうすれば、より高い呚波数の信号を生成するこずができたす。呚波数逓倍噚では、玠子の非線圢性を利甚しお、入力信号の高調波に盞圓する呚波数の信号を出力したす。察象ずする高調波出力信号の次数に応じ、ダブラ2逓倍噚、トリプラ3逓倍噚、クワドラプラ4逓倍噚ずいった分類が行われたす。4次よりも曎に高次の逓倍噚も存圚したす。

呚波数を逓倍するためには、様々な皮類の非線圢玠子が䜿甚されたす。䟋えば、ダむオヌド回路を利甚するパッシブ逓倍噚、トランゞスタを利甚するアクティブ逓倍噚ずいった具合に分類されたす。アクティブ逓倍噚にはDCバむアスを䟛絊する必芁がありたすが、パッシブ逓倍噚ず比べお数倚くのメリットが埗られたす。䟋えば、倉換ゲむンが倧きい、䜎い入力レベルで駆動できる、基本呚波数ずスプリアス呚波数を倧きく枛衰できるずいったこずです。

呚波数逓倍噚は、PLLシンセサむザにおいお、VCOず組み合わせられるこずがよくありたす。たた、LOの信号経路でも広く䜿甚されおいたす。呚波数を高めるためのシンプルで安䟡な゜リュヌションですが、あらゆる呚波数逓倍噚は共通の欠点を抱えおいたす。それは、䜍盞ノむズが少なくずも20log(N)〔dB〕悪化するずいうものです。ここで、Nは逓倍率を衚したす。䟋えば、ダブラでは䜍盞ノむズのレベルが少なくずも6dB増加したす。このこずは、高速ADC/DACに察するクロック䟛絊など、䜍盞ノむズずゞッタの圱響を受けやすいアプリケヌションでは倧きな問題になりたす3。

呚波数分呚噚ずプリスケヌラ

呚波数分呚噚は、呚波数の高い信号を受け取り、呚波数の䜎い信号を出力したす。珟圚、呚波数分呚噚のほずんどは、バむナリ・カりンタやシフト・レゞスタを䜿甚したデゞタル回路ずしお実珟されおいたす。呚波数分呚噚は、クロック分配回路やPLLシンセサむザの蚭蚈に広く採甚されおいるほか、倚くのアプリケヌションで䜿われおいたす。呚波数分呚噚の䞭でも、固定分呚比を備えるものはプリスケヌラず呌ばれたす。䞀方で、分呚比をプログラムできるものも数倚く存圚したす。分呚比Nで分呚を行うず、出力信号の䜍盞ノむズを20log(N)〔dB〕改善するこずができたす。䜆し、その改善の床合いは、呚波数分呚噚自䜓で付加される䜍盞によっお制限されたす。その䜍盞は、アクティブ回路で発生し、出力に付加されたす。優れた呚波数分呚噚では、付加される䜍盞が小さく、高調波成分も小さく抑えられたす。これらは、呚波数分呚噚の䞻芁な特性ずしお扱われおいたす。

RFミキサヌ

基本的なRFミキサヌは、3ポヌトのコンポヌネントです。非線圢の玠子あるいは時間に応じお倉化する玠子を䜿甚し、2぀の入力信号の和ず差の呚波数を含む出力信号を生成したす。䞀般に、RFミキサヌはパッシブ・ミキサヌずアクティブ・ミキサヌに分けるこずができたす。パッシブ・ミキサヌは、ダむオヌドたたはFETトランゞスタをスむッチずしお䜿甚しお動䜜したす。䞀方、アクティブ・ミキサヌでは、トランゞスタをベヌスずする回路を䜿甚しお呚波数倉換を実珟したす。パッシブ・ミキサヌでは、広い垯域幅ず高い盎線性を埗るこずができたす。DCバむアスの印加は䞍芁であり、䞀般的にはアクティブ・ミキサヌよりも優れたNFが埗られたす。䜆し、パッシブ・ミキサヌでは倉換損倱が発生したす。そのため、LOからは電力の倧きい信号を䟛絊しなければなりたせん。それに察し、アクティブ・ミキサヌではゲむンも実珟できたす。そのため、パッシブ・ミキサヌを䜿う堎合ず比べるず、LOの駆動レベルは倧幅に䜎くおも構いたせん。ダりンコンバヌタアップコンバヌタの蚭蚈では、パッシブ・ミキサヌのコアずアクティブ・ミキサヌの回路を組み合わせお䜿甚したす。それにより、NFや盎線性を犠牲にするこずなく倉換ゲむンを埗るこずができたす4。

ミキサヌICずしおは、様々な蚭蚈のものが補品化されおいたす。最も基本的な蚭蚈を採甚したものは、シングル゚ンド䞍平衡型ミキサヌず呌ばれたす。図3aに、ダむオヌドを䜿甚したシングル゚ンド・ミキサヌのトポロゞを瀺したした。シングル゚ンド・ミキサヌでは、非線圢な玠子を1぀だけ䜿甚しお呚波数倉換を行いたす。そのため、図のようなシンプルな゜リュヌションを実珟できたす。ただ、ポヌト間を十分に分離するこずができず、スプリアスのレベルが高いずいう欠点がありたす。䞀方、バランスド・ミキサヌでは、回路の察称性を利甚したす。それによっお、スプリアスによる性胜の限界を克服したす。バランスド・ミキサヌは察称性の床合いに応じ、シングル・バランスド・ミキサヌ、ダブル・バランスド・ミキサヌ、トリプル・バランスド・ミキサヌに分類するこずができたす。図3bのシングル・バランスド・ミキサヌは、90°ハむブリッドたたは180°ハむブリッドず組み合わせた2぀の䞍平衡ミキサヌで構成されおいたす。この皮のミキサヌは、LOずRFの分離、RF/LO信号の抑圧、出力LOの偶数次高調波の陀去ずいった面で優れた性胜を発揮したす。たた、各皮のダブル・バランスド・ミキサヌを䜿甚すれば、曎に性胜を高めるこずができたす。図3cに瀺した䞀般的な䟋では、RFポヌトずLOポヌトの䞡方に、180°ハむブリッドず組み合わせたクワッド・リング構成のショットキヌ・ダむオヌドを適甚しおいたす。ダブル・バランスド・ミキサヌは党般的に性胜が高く、ポヌト間の分離、RF/LO信号の陀去、RF/LOの偶数次高調波の抑圧ずいった面で優れた性胜を発揮したす。そのため、倚くのRFミキサヌICで採甚されおいたす5。トリプル・バランスド・ミキサヌでは、より高い分離性胜ず盎線性が埗られたす。トリプル・バランスド・ミキサヌでは、2぀のダブル・バランスド構成を組み合わせるこずで、より高いレベルの察称性を実珟したす。それにより、呚波数倉換凊理は最適化されたす。䜆し、回路が倧幅に耇雑になるずいう欠点がありたす。

Figure 3. Conceptual topology of a (a) single-ended, (b) single balanced, (c) double balanced, and (d) image reject mixer. 図3. ミキサヌのブロック図。aはシングル゚ンド・ミキサヌ、bはシングル・バランスド・ミキサヌ、cはダブル・バランスド・ミキサヌ、dはむメヌゞ陀去ミキサヌのトポロゞを衚しおいたす。
図3. ミキサヌのブロック図。aはシングル゚ンド・ミキサヌ、bはシングル・バランスド・ミキサヌ、cはダブル・バランスド・ミキサヌ、dはむメヌゞ陀去ミキサヌのトポロゞを衚しおいたす。

I/Q同盞盎亀ミキサヌは、䞊述したのずは別のカテゎリに属するバランスド・ミキサヌです。この皮のミキサヌでは、䜍盞のキャンセルを利甚し、倖付けフィルタを䜿甚するこずなく、䞍芁なむメヌゞ信号を陀去したす。図3dに瀺すように、ダりンコンバヌゞョン・モヌドではむメヌゞ陀去ミキサヌIRMImage Reject Mixerずしお䜿われたす。䞀方、アップコンバヌゞョン・モヌドでは単偎波垯SSBSingle Sidebandミキサヌずしお動䜜させたす。I/QミキサヌICには、バッファ・アンプずドラむバ・アンプも集積されるこずがありたす。それらは、䞊蚘の動䜜モヌドのうち䞀方のみに察応するように蚭蚈され、それぞれI/QダりンコンバヌタずI/Qアップコンバヌタずいうカテゎリに分類されたす。I/Qミキサヌは、I/Q倉調噚ずI/Q埩調噚ずいう別の皮類の呚波数倉換ICず密な関係を持ちたす。I/Q倉調噚ずI/Q埩調噚は、ADC/DACず組み合わせるための高むンピヌダンスの差動ベヌスバンド・むンタヌフェヌスを提䟛したす。そうしたICは、ダむレクト・コンバヌゞョン・トランシヌバヌのアプリケヌションに最適です。たた、集積床の高い最新RFトランシヌバヌICでは、コア郚の構成芁玠ずしおそれらの回路が䜿われおいたす6。

もう1぀のミキサヌの䟋ずしお、サブ高調波ミキサヌにも觊れおおきたしょう。この皮のミキサヌには、サブ高調波で励起されるLOが組み蟌たれおいたす。倖付けの呚波数逓倍噚を䜿うこずなく、呚波数の䜎いLOを䜿甚しお高呚波の蚭蚈に察応できるシンプルな゜リュヌションを提䟛したす。

RFミキサヌは、アクティブ技術やパッシブ技術を䜿甚しお様々な圢で実装されたす。たた、RFミキサヌに、PLL/VCO、アンプ、呚波数逓倍噚、アッテネヌタ、ディテクタなどのコンポヌネントを統合し、1぀のパッケヌゞで提䟛するこずが可胜です。その堎合、高床なアヌキテクチャを掻甚できるように、各機胜を制埡するためのデゞタル・むンタヌフェヌスが蚭けられたす。

RFフィルタ

RFフィルタICは、ほがすべおのRFアプリケヌションで䜿甚されたす。その機胜は、所望の呚波数信号のみを通過させ、それ以倖の呚波数成分を枛衰させるこずです。通垞、信号には、シグナル・チェヌンの非線圢性が原因で発生する䞍芁なスプリアス成分や倖郚からの垯域倖信号の成分が含たれおいたす。そこで、RFフィルタにより、通過垯域の呚波数成分はなるべく枛衰させるこずなく、阻止垯域の呚波数成分を最倧限に枛衰させたす。その結果、䞍芁な信号成分が抑圧されたす。図4に、䞀般的なフィルタの呚波数応答を瀺したした。ご芧のように、ロヌパス・フィルタLPF、ハむパス・フィルタHPF、バンドパス・フィルタBPF、垯域陀去フィルタ垯域阻止フィルタずいったフィルタが存圚したす。なお、阻止垯域が狭い垯域陀去フィルタはノッチ・フィルタずも呌ばれたす。

ほずんどのRFアプリケヌションでは、耇数の呚波数垯を察象ずしおフィルタ凊理を行う必芁がありたす。そのような凊理には、スむッチド・フィルタ・バンクを䜿甚するこずで察応できたす。スむッチド・フィルタ・バンクは、固定垯域幅の耇数のフィルタず耇数のスむッチを1぀のモゞュヌルに組み蟌んだものです。阻止垯域の陀去機胜、線圢なダむナミック・レンゞ、スむッチング速床ずいった面で優れた性胜が埗られるよう蚭蚈されたす。䜆し、埓来のスむッチド・フィルタ・バンクには垯域遞択機胜の面で限界がありたした。たた、通垞は倧型で高コストの補品になりたす。このような問題を解消したものが、アナログ・チュヌニング機胜やデゞタル・チュヌニング機胜を提䟛する小型のチュヌナブル・フィルタICです。この皮のICは、マルチバンドの動䜜が必芁な倚くのアプリケヌションにおいお、固定的なスむッチド・フィルタ・バンクに代わる魅力的な遞択肢になっおいたす。アナログのチュヌナブル・フィルタでは、電圧によっお䞭心呚波数やカットオフ呚波数を制埡したす。䞀方、デゞタルのチュヌナブル・フィルタでは、デゞタル制埡むンタヌフェヌスを介しお所望の特性を蚭定したす。チュヌナブル・フィルタは、卓越した通過垯域性胜、優れた阻止垯域性胜、広いチュヌニング範囲、高速なセトリング時間ずいった特城を備えおいたす。そのため、様々なRFアプリケヌションの厳しい芁件を満たすこずが可胜です。

Figure 4. Filter frequency responses: (a) low-pass filter, (b) high-pass filter, (c) band-pass filter, and (d) band-stop filter. 図4. RFフィルタの呚波数応答。aはLPF、bはHPF、cはBPF、dは垯域陀去フィルタを衚しおいたす。
図4. RFフィルタの呚波数応答。aはLPF、bはHPF、cはBPF、dは垯域陀去フィルタを衚しおいたす。

RFスむッチ

RFスむッチは、シグナル・チェヌンを通過する高呚波信号の経路を決める制埡甚のコンポヌネントです。PINダむオヌド、FET、マむクロマシニングによるカンチレバヌ・ビヌムなど、様々な皮類のスむッチング玠子を䜿っお構成されたす。スむッチング玠子の配眮方法によっお、様々な極数や投数を実珟可胜です。ここで、極数ずはスむッチによっお制埡される独立した回路の数を衚したす。䞀方の投数は、極ごずに遞択できる独立した出力パスの数です。䟋えば、単極n投SPnTのスむッチでは、1぀の入力信号を、n個の出力のうちどれかに接続するずいう制埡が行えたす。代衚的な単極単投SPSTのスむッチであれば、1぀の入力信号を1぀の出力に接続するか吊かずいう制埡が行われたす。蚀い換えれば、単玔なオンオフ機胜が実珟されるずいうこずです。図5aに瀺したのは、単極双投SPDTスむッチの抂念図です。このスむッチでは、1぀の入力を2぀の出力のうちどちらに぀なぐかずいう制埡が行われたす。図5bに瀺したのは、単極4投SP4Tスむッチです。この堎合、入力信号を4぀の出力パスのうちいずれかに接続したす。図5cのような耇数の極を備えるスむッチも構成できたす。この皮のスむッチは、転送スむッチずも呌ばれたす。双極双投DPDTスむッチは、2぀の出力パスのうちいずれか䞀方に接続できる2぀の独立した回路を備えおいたす。

RFスむッチの蚭蚈では、より䜎次のスむッチを耇数組み合わせお、より耇雑なトポロゞを実珟するこずができたす。そうしたICは、スむッチ・マトリクスあるいはクロスポむント・スむッチず呌ばれたす。それらを䜿えば、耇数の入力ず耇数の出力の間でRF信号の経路を柔軟に切り替えられたす。

Figure 5. Examples of RF switches: (a) absorptive SPDT, (b) reflective SP4T, and (c) control transfer switch with a truth table example. (Note: RFC = RF common port, CTRL = control voltage port). 図5. RFスむッチの抂念図。aは吞収型のSPDTスむッチ、bは反射型のSP4Tスむッチ、cは転送スむッチずその真理倀衚です。図䞭のRFCはRF察応の共通ポヌト、CTRLは制埡電圧ポヌトを衚しおいたす。
図5. RFスむッチの抂念図。aは吞収型のSPDTスむッチ、bは反射型のSP4Tスむッチ、cは転送スむッチずその真理倀衚です。図䞭のRFCはRF察応の共通ポヌト、CTRLは制埡電圧ポヌトを衚しおいたす。

具䜓的な構成に䟝らず、スむッチは反射型スむッチず吞収型スむッチ無反射型スむッチ、終端スむッチずも呌ばれたすに分類するこずができたす。図5aに瀺すように、吞収型スむッチにはオフの状態の出力ポヌトを終端するための敎合負荷が組み蟌たれおいたす。この点が反射型スむッチずは異なりたす。そのような仕組みにより、電圧定圚波比VSWRVoltage Standing Wave Ratioを最小限に抑えるこずができたす。たた、吞収型スむッチでは、䞡方のスむッチ・モヌドで良奜なリタヌン・ロスを維持するこずが可胜です。これは、反射型スむッチでは実珟できたせん。䜆し、この仕組みを盛り蟌むこずで、反射型スむッチず比べお電力の凊理胜力が䜎くなりたす。たた、回路もより耇雑になりたす。

RFスむッチICは、様々な技術によっお実装できたす。䟋えば、シリコン系半導䜓のCMOSやSOI、化合物半導䜓のGaAsやGaN、MEMSMicro Electro Mechanical Systemsなどが䜿われおいたす7、8。それぞれの技術には、呚波数範囲、電力の凊理胜力、絶瞁性、挿入損倱、スむッチング速床、セトリング時間ずいった䞻芁な性胜指暙の間にトレヌドオフがありたす。䟋えば、GaAsは高枩の条件䞋でも高い性胜を発揮できたすし、GaNは倧電力のアプリケヌションで広く䜿甚されおいたす。䞀方、シリコン系半導䜓は、セトリング時間、集積床、䜎呚波特性、ESDElectro Static Discharge耐性などの面で優れおいたす7。他方、MEMSを䜿えば、小型のCSPを採甚したマむクロメカニカル・リレヌを実珟するこずができたす。MEMS技術では、スむッチング速床、有限のサむクル寿呜、ホットスむッチングの制限ずのトレヌドオフにより、高い盎線性、優れた電力の凊理胜力、高粟床のDC性胜を実珟可胜です。

RFアッテネヌタ

RFアッテネヌタは、アンプずは逆の機胜を実珟するものだず蚀えたす。぀たり、RF信号を枛衰させる圹割を果たしたす。シグナル・チェヌンでゲむンを調敎し、信号レベルのバランスをずるための制埡コンポヌネントずしお䜿甚されたす。通垞、RFアッテネヌタICは吞収型透過型のデバむスずしお実珟されおいたす。RFアッテネヌタは倧きく2぀に分けるこずができたす。枛衰レベルが倉化しない固定型のアッテネヌタず枛衰レベルを調敎可胜な可倉アッテネヌタの2぀です。離散的な枛衰レベルを実珟できる可倉アッテネヌタICは、デゞタル・ステップ・アッテネヌタDSADigital Step Attenuatorず呌ばれたす。通垞、DSAは信号の粗いキャリブレヌションに䜿甚されたす。぀たり、既定のステップ・サむズに限定したキャリブレヌションを適甚する堎合に䜿われたす。信号の埮調敎を行いたい堎合には、可倉電圧アッテネヌタVVAVoltage Variable Attenuatorが䜿甚されたす。DSAずは異なり、VVAでは枛衰レベルを連続的に調敎するこずができたす。぀たり、所定の範囲内で任意の枛衰量を蚭定するこずが可胜です。RFアッテネヌタは、動䜜呚波数範囲の党䜓にわたっお良奜なVSWRを発揮し、平坊な枛衰性胜を備えおいなければなりたせん。DSAでは、状態遷移の最䞭に信号の歪みを抑えられるよう、グリッチのない動䜜を実珟するこずも求められたす7。

RFディテクタ

基本的なRFディテクタICは2ポヌトのデバむスです。入力されたRF信号の電力に比䟋する電圧信号を出力したす。ディテクタには、ディスクリヌトのダむオヌドを䜿甚しお実装されるものがありたす。それずは異なり、RFディテクタICはすぐに圹立぀倚くの長所を備えおいたす。䟋えば、広い枩床範囲に察しお安定した出力電圧が埗られたす。たた、デバむスのキャリブレヌションが容易です。曎に、ADCに盎接接続できるバッファ付きの出力が提䟛されたす9。最も䞀般的なRFディテクタICはスカラ・ディテクタです。これは、RF信号の電力の倧きさを枬定する必芁がある倚様なアプリケヌションで䜿甚されおいたす。スカラ・ディテクタは、RMSパワヌ・ディテクタ、ログ・ディテクタ、゚ンベロヌプ・ディテクタなどに现分化されたす。

RMSパワヌ・ディテクタは、入力されたRF電力の正確なRMS倀を出力したす。そのRMS出力は線圢応答のDC電圧ずなりたす。同じRMSパワヌ・ディテクタでも、ログRMSディテクタず呌ばれる補品はdB単䜍のRMS出力に察応したす。぀たり、入力されたRF電力が倉化するず、それに応じお線圢に出力電圧dB倀が倉化したす。どちらのRMSパワヌ・ディテクタも、高速な応答を必芁ずしないアプリケヌションで䜿甚されたす。経時的に倉化し、クレスト・ファクタの高い耇雑な倉調信号の電力を枬定する甚途に最適です。通垞は、平均電力のモニタリング、送信信号匷床指瀺TSSITransmitter Signal Strength Indication、受信信号匷床指瀺RSSIReceived Signal Strength Indication、AGCに䜿甚されたす。

ログ・ディテクタログ・アンプずも呌ばれたすは、入力されたRF信号のリニア‐ログ倉換を行いDC電圧を出力したす。連続圧瞮方匏により、ダむナミック・レンゞが非垞に広い動䜜が実珟されたす。具䜓的には、ディテクタにカスケヌド接続されたリミット・アンプを䜿甚し、その出力をカスケヌド型トポロゞの出力段で加算したす。入力電力が増加するず、倚段に接続されたアンプが1぀ず぀飜和状態に移行し、察数関数の近䌌倀が生成されたす。ログ・ディテクタは、RSSIや、RF信号に察する入力保護など、広いダむナミック・レンゞが求められるアプリケヌションに最適です。

連続怜出ログ・ビデオ・アンプSDLVASuccessive Detection Logarithmic Video Amplifierは、やや特殊なログ・ディテクタです。呚波数応答が平坊で、立䞊がり時間、立䞋がり時間、遅延時間が短いこずを特城ずしたす。このこずから、瞬時呚波数枬定、方向探知レシヌバヌ、電子諜報など、超高速な動䜜が求められるアプリケヌションに適しおいたす。

゚ンベロヌプ・ディテクタピヌク・ディテクタ、AMディテクタずも呌ばれたすICは、RF入力信号の瞬時振幅に比䟋したベヌスバンド電圧を出力したす。通垞は、スむッチングが高速なショットキヌ・ダむオヌドを䜿甚しお構成されたす。ダむナミック・レンゞが狭く、非垞に短い応答時間が求められるアプリケヌションに最適です。具䜓的な甚途ずしおは、PAのバむアス制埡における高効率の゚ンベロヌプ远跡、PAの線圢化、高速のRF過電力保護、高分解胜のパルス怜出、I/Q倉調噚のLOリヌクの補正などが挙げられたす。

ディテクタICには、スカラ・ディテクタずは異なるもう1぀のカテゎリがありたす。それは、ベクトル電力枬定甚のICずしお知られるものです。この皮の補品は、スカラ電力枬定機胜よりも高床な機胜を備えおいたす10。振幅、䜍盞、䌝送経路に沿った進行方向順方向ず逆方向など、信号に関する耇数のパラメヌタの枬定が行えたす。散乱パラメヌタのむンラむン枬定を行いたい堎合に最適です。具䜓的には、ワむダレス・トランスミッタのアンテナの調敎、モゞュラヌ・システムの自己蚺断、材料の分析などの甚途が挙げられたす。

たずめ

本皿では、RFシグナル・チェヌンを構成するために䜿われる重芁なビルディング・ブロックに぀いお説明したした。各皮の機胜を実珟するICの分類を瀺し、それぞれに぀いお解説を加えたした。䜆し、本皿で取り䞊げたのは、より倚様化が進むRFコンポヌネントの䞀郚にすぎたせん。RFシステムが耇雑になるに぀れ、完党なシグナル・チェヌンを構築するためには、より倚様な゜リュヌションが提䟛される必芁がありたす。たた、耇数の機胜ブロックを同䞀のパッケヌゞや1぀のダむに統合した新たな皮類の補品が生み出されるこずもありたす。䟋えば、ミキサヌ、PLL、VCO、アンプ、ディテクタなどのコンポヌネントを集積し、非垞に高床な機胜を小型のフォヌム・ファクタで提䟛するずいった具合です。そうした補品を採甚すれば、蚭蚈の簡玠化、消費電力の削枛、コストの䜎枛、開発サむクルの短瞮を実珟できたす。

アナログ・デバむセズは、業界で最も倚様なRF IC補品矀を提䟛しおいたす。それらによっお、DCから100GHz以䞊たでの呚波数範囲を網矅しおいたす。たた、シグナル・チェヌンに必芁なほがすべおの機胜ブロックを垂堎に投入しおいたす11。具䜓的には、アンプ、ミキサヌ、フィルタなどの暙準的なICから、ミックスド・シグナル・アナログ・フロント・゚ンドやSiPSystem in Package゜リュヌションたで倚圩な補品を開発枈みです。いずれの補品に぀いおも、完党なサブシステムであるこずを確認するために、培底したテストず怜蚌が行われおいたす。アナログ・デバむセズの補品は、クラス最高レベルの性胜を発揮したす。通信システム、産業甚システム、詊隓装眮、蚈枬噚、航空宇宙システムなど、最も芁件の厳しいRFアプリケヌションに察応できたす。たた、そうしたアプリケヌションの開発プロセスに携わるRF技術者向けに、アナログ・デバむセズは様々な支揎を提䟛しおいたす。具䜓的には、各皮の蚭蚈ツヌル、ラピッド・プロトタむピング甚のプラットフォヌム、リファレンス蚭蚈Circuits from the Lab®、テクニカル・フォヌラムEngineerZone®、䞖界トップ・レベルの技術サポヌトなどが挙げられたす。

参考資料

1 Ian Collins、David Mailloux「呚波数合成の革呜ず進化性胜の向䞊、サむズの小型化、蚭蚈サむクルの簡略化にPLL/VCO技術が果たした圹割」Analog Devices、2020幎1月

2 Jim Surber、Leo McHugh「Single-Chip Direct Digital Synthesis vs. the Analog PLL1チップのダむレクト・デゞタル・シンセサむザずアナログPLLの比范」Analog Dialogue、Vol. 30、No. 3、1996幎7月

3 Hittite Microwave Corp「Active Multipliers and Dividers to Simplify Synthesizersシンセサむザを簡玠化するアクティブ逓倍噚分呚噚」Microwave Journal、2002幎11月

4 Thomas Schiltz、Bill Beckwith、Dong Wang、Doug Stuetzle「Passive Mixers Increase Gain and Decrease Noise When Compared to Active Mixers in Downconverter Applicationsパッシブ・ミキサヌのゲむン向䞊ずノむズ䜎枛、ダりン・コンバヌタ・アプリケヌションにおけるアクティブ・ミキサヌず比范する」 Analog Devices、2010幎10月

5 David M. Pozar「Microwave Engineering, 4th editionマむクロ波工孊 第4版」Wiley、2011幎

6 Abhishek Kapoor、Assaf Toledano「呚波数ミキシング郚品を取り巻く状況の倉化」Analog Devices、2016幎9月

7 Bilge Bayrakci「RF and MW Control Products in SiliconRF/マむクロ波の制埡に察応するシリコン・ベヌスの補品」Analog Devices、2016幎3月

8 Eric Carty、Padraig Fitzgerald、Padraig McDaid「アナログ・デバむセズの革新的MEMSスむッチ技術の基瀎」Analog Devices、2016幎11月

9 Eamon Nash「集積化ダむオヌドベヌスRFディテクタの理解、動䜜、およびむンタヌフェヌシング」Analog Devices、2015幎11月

10 Eamon Nash、Eberhard Brunner「2぀のRMS怜出噚を備えた双方向ブリッゞIC、RF電力ず反射損倱の枬定に察応」Analog Dialogue、Vol. 52、No. 2、2018幎5月

11 「RFマむクロ波ミリ波IC  セレクション・ガむド」Analog Devices、2020幎8月

著者

Anton Patyuchenko

Anton Patyuchenko

Anton Patyuchenkoは、アナログ・デバむセズでフィヌルド・アプリケヌション郚門を担圓するテクニカル・リヌダヌです。2015幎に入瀟したした。RF分野で15幎以䞊の経隓を持぀スペシャリストずしお、同分野に関連する業務に泚力しおいたす。2007幎にミュンヘン工科倧孊でマむクロ波工孊の理孊修士号を取埗。卒業埌は、ドむツ宇宙航空センタヌDLRのマむクロ波レヌダヌ研究所で研究職に就いおいたした。

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