アプリケヌション・ノヌト䜿甚䞊の泚意

本アプリケヌションノヌトの英語以倖の蚀語ぞの翻蚳はナヌザの䟿宜のために提䟛されるものであり、リビゞョンが叀い堎合がありたす。最新の内容に぀いおは、必ず最新の英語版をご参照ください。

なお、日本語版のアプリケヌションノヌトは基本的に「Rev.0」リビゞョン0で䜜成されおいたす。

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アプリケヌション・ノヌト䜿甚䞊の泚意

AN-2582: 高VOUT 降圧DC/DC スむッチング・レギュレヌタの蚭蚈䞊の考慮事項

芁玄

システムがより耇雑になり、より倚くの電力を必芁ずするようになる䞭で、効率ず実装密床が高いこずから、高VOUT アプリケヌション向けにDC/DC スむッチング・レギュレヌタの利甚がたすたす広がっおいたす。このアプリケヌション・ノヌトでは、高VOUT 降圧スむッチング・レギュレヌタに関する実甚に即した蚭蚈䞊の考慮事項や課題、䟋えばブヌトストラップ回路の通垞動䜜を維持する方法などを瀺したす。実甚䞊の考慮事項ず共に、扱いが難しいコヌナヌ・ケヌス䞋でもスむッチング・レギュレヌタをスムヌズに動䜜させるためのガむドラむンも瀺したす。

はじめに

降圧DC/DC スむッチング・レギュレヌタは電力倉換アプリケヌションで広く䜿甚されたす。リニア・レギュレヌタず比范するず、スむッチング・レギュレヌタには、出力電流胜力、効率、゜リュヌション・サむズなど倚くの面で優䜍性がありたす。これらの優䜍性は降圧比が高いほど倧きくなりたす。パワヌMOSFET を組み蟌んだモノリシック・パワヌ・マネヌゞメントIC は、幅広いアプリケヌションで降圧DC/DCバックスむッチング・レギュレヌタを利甚するためのコンパクトで䟿利な手段を提䟛したす。モノリシック降圧IC に関するデザむン・ノヌトやガむドはよく敎備されおいお、理解されおいたす。

降圧スむッチング・レギュレヌタは、ポむント・オブ・ロヌドPOL電源に適しおいるだけでなく、䞭間的なバス・レヌルでも重芁な圹割を果たしたす。これらの䞭間バス甚のコンバヌタでは、䞀般的に、䞋流にある耇数のレギュレヌタや負荷に電力を䟛絊するために、高い電圧レベルず電力が芁求されたす。そのため、システム蚭蚈に降圧レギュレヌタをできるだけ倚く組み入れる動きが広がっおいたす。

システムが曎に耇雑で高床な機胜を備えるようになるず、消費電力は増加を続け、電力分配の損倱も増加したす。この問題ぞの察応ずしお、システム蚭蚈者は䞭間バスの電圧を12V から24V ぞ、そしお珟圚では曎に48V ぞず高くしおいたす。高VOUTの降圧レギュレヌタでは、デュヌティ・サむクル、スむッチング損倱、むンダクタ・コア損倱、パワヌMOSFET ぞのストレスが党お倧幅に䞊昇するため、蚭蚈は難しくなりたす。このアプリケヌション・ノヌトは、高い出力電圧の降圧スむッチング・レギュレヌタの蚭蚈における䞻芁な考慮事項を抂説するこずを目的ずしおいたす。.

ブヌトストラップ回路の考慮事項

N チャンネル䞊偎FET を䜿甚する降圧スむッチング・レギュレヌタでは、䞊偎FET の゜ヌスがSW ノヌドにあり、電圧レベルが0V ずVIN の間で振れるため、ゲヌト駆動電圧を埗るために特別な電力スキヌムが必芁になりたす。この問題の解決によく䜿甚される方法は、単玔な䜎コストのブヌトストラップ回路です[1]。䞀般的に、このブヌトストラップ回路はコンデンサCBSTずダむオヌド1 ぀ず぀の远加のみで実装できたす。ブヌトストラップ・コンデンサCBST は、1 端がSW ノヌドに接続されおおり、SW の電圧がどのようなレベルになっおも、䞊偎FET やその他の補助回路に絊電しお駆動したす[1]。

しかし、ブヌトストラップ回路で支持されるブヌトストラップ・コンデンサCBST は、理想的な電源ずはほど遠く、制限デュヌティ・サむクル、スむッチング呚波数などがあるためスムヌズな機胜を保぀こずができたせん。VOUT が高いアプリケヌションでは特に、CBST の電圧の維持は困難です。このセクションでは、高VOUT アプリケヌションでのブヌトストラップ回路の抂芁ず課題を述べ、ブヌトストラップ回路が正しく動䜜しないこずを防止するためのガむドラむンを瀺したす。


ブヌトストラップ回路の抂芁


図1 は、ブヌトストラップ回路を備えた降圧スむッチング・レギュレヌタIC の簡略化した回路図です。CBST はブヌトストラップ・ダむオヌドDBST および寄生抵抗RBST ず盎列に接続されおいたす。ブヌトストラップ・ダむオヌドDBST は、むンピヌダンスを䞋げるためにFET で実装する堎合もありたす。CBST のもう䞀方の端子は、倚くの堎合、BST ピンず呌ばれたす。したがっお、蚭蚈䞊BST ピンの電圧はSW ノヌドの電圧よりも䞀般に高くなりたす。CBST は、パッケヌゞ内に組み蟌たれおいる堎合も、SWピンずBST ピンの間に倖付けするこずが必芁な堎合もありたす。

図1. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のブヌトストラップ回路の回路図

図1. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のブヌトストラップ回路の回路図

どのようにしおCBST が䞊偎FET ず補助回路を駆動するのに十分な電圧を垞に保おるようにするかが問題になりたす。スむッチング・サむクルごずに、䞊偎FET がオフでSW ノヌドの電圧がロヌの期間CBST が充電されたす。VOUT が䜎くデュヌティ・サむクルが䜎い堎合は、䞀般的に䞊偎FET のオフ時間は、十分なCBST 電圧を埗られるだけの長さがありたす。䞊偎FET がオンになるず、CBST は埐々に攟電し、䞊偎FET を駆動する実効電源ずしお機胜したす。起動プロセスでの充電埌、CBST の電圧は定垞状態に入り、䞊偎FET ず補助回路の通垞動䜜を支えたす。


高VOUT においおブヌトストラップ回路で発生し埗る問題


VOUT が高くなり、高いデュヌティ・サむクルで動䜜するようになるず、ブヌトストラップ回路の機胜を確保できるようにCBSTを充電するのは難しくなりたす。VOUT が高くなるず、VIN ずスむッチング呚波数が䞀定であれば、䞋偎FET のオン時間が短くなりたす。このため、CBST の充電が行われる時間が次第に短くなりたす。極端な状況ずしおは、VOUT がほがVIN に等しくなるドロップアりト状態がありたす。理論的には、䞋偎FET のオン時間がれロになり、CBST を充電する時間がなくなる可胜性がありたす。実際には、䞋偎FET のオン時間はれロたで䞋がるこずは蚱されおいたせん。䞊偎FET に最小オフタむムの芁件があるため、SW ノヌドが最短時間だけロヌになっお、ブヌトストラップ回路の動䜜を継続したす。しかし、この最小オフ時間の芁求通垞は150ns 未満ではCBST の充電に十分な長い時間が垞に確保されるわけではなく、条件によっおは十分なCBST 電圧が埗られない堎合がありたす。ドロップアりト電圧䞋での性胜を改善するために、レギュレヌタによっおは、オフ時間のスむッチングをスキップし、呚波数を䞋げお有効デュヌティ・サむクルを䞊げるものがありたす。この動䜜では、CBST の充電状態を保぀のが曎に難しくなりたす。

高VOUT アプリケヌションでは、軜負荷あるいは無負荷の条件ではCBST の充電条件が曎に悪化し埗たす。䞊偎FET がオフになるず、盞圓なむンダクタ電流が流れ、SW の電圧が急激に匕き䞋げられたす。しかし、軜負荷条件では、むンダクタ電流が少ないために、SWノヌド電圧がロヌに䞋がっおCBSTの充電プロセスを開始するたでの時間が延び、実効的に充電時間が短瞮されたす。特にレギュレヌタが非垞に高いデュヌティ・サむクルで動䜜し、オフ時間が最小になるずき、CBST の充電時間が倧幅に短瞮されたす。入力電圧が高く、SW ノヌドの電圧降䞋時間が長くなるず、CBST の充電時間は曎に短くなりたす。

曎に、軜負荷や無負荷の条件では、効率向䞊のために、スむッチング・レギュレヌタを䞍連続導通モヌドDCMで動䜜させる堎合が倚くなりたす。この堎合には、䞋偎FET がオンのずき、むンダクタ電流が0A より䞋がるずチャンネルが切断されたす。そしお、DCM のリンギングによっおSW の電圧が䞊昇し、CBSTの充電プロセスが終了したす。図2 はVIN が55V、VOUT が43VにおけるDCM の波圢を瀺しおおり、むンダクタ電流が0A たで䞋がるずSW 電圧青の波圢ずBST 電圧緑の波圢の䞡方が発振し急増しおいたす。ブヌトストラップ・ダむオヌドは逆バむアスになり、次のスむッチング呚期でSW がロヌに䞋げられるたでCBST の充電ができなくなりたす。発振が完党に枛衰されたずしおも、SW の電圧はVOUT のレベルを保ち、CBST の充電パスは成立したせん。

図2. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のDCM 動䜜パルス・スキッピング・モヌド、55VIN、43VOUT、2mA 負荷

図2. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のDCM 動䜜パルス・スキッピング・モヌド、55VIN、43VOUT、2mA 負荷

このため、DCM 動䜜時にむンダクタ電流が0A に達するたでの時間が重芁ずなりたす。この期間がCBST の実効充電時間で、このアプリケヌション・ノヌトではtBST,DCM ず呌びたす。軜負荷時、無負荷時のピヌク・むンダクタ電流は非垞に䜎いため、むンダクタ電流は非垞に短い時間で負になりたす。tBST,DCM は非垞に短く、次匏で蚈算できたす。

数匏01.

この匏で、IpkはDCM動䜜時のピヌク・むンダクタ電流です。Ipkが䜎ければ、CBST を充電するtBST,DCM が短くなりたす。倚くのDCM動䜜䟋では、負荷電流の䜎䞋に䌎っおIpkが䜎枛し、以䞋のように蚈算できたす。tBST,DCMの匏も瀺したす。

数匏02.

数匏03.

匏2、匏3 においお、RLは負荷抵抗です。バヌスト・モヌドおよび䞀郚のパルス呚波数倉調PFMモヌドにおけるDCMの䟋では、負荷が䜎い状態でも、Ipk が意図的にある䞀定のレベルに維持されたす。そのため、これらのモヌドは、軜負荷時や無負荷時のCBST 充電の補充に有甚です。

DCM ではVOUT が高くなるず曎にブヌトストラップ回路の通垞動䜜が危うくなりたす。DCM でのCBST 充電時間は、出力電圧ずむンダクタンスにより倧きく倉化したす。DCM の党おのケヌス匏1、匏3においお、VOUT が高くなるずtBST,DCM は短くなりたす。高VOUT 時に高いむンダクタンスを遞択するず、tBST,DCM は長くなりたす。そのように遞択したむンダクタンスでも高VOUTアプリケヌションでは小さすぎるこずが倚く、これに぀いおはこのアプリケヌション・ノヌトの次のセクションで説明したす。

CBST 電圧が十分でなければ、降圧スむッチング・レギュレヌタの動䜜には重倧な圱響がありたす。䞊偎FET がオンになるたびに、CBST の電圧をチェックし、問題なく䞊偎FET を駆動できるかを確認したす。CBST 電圧が䜎すぎれば、䜎電圧ロックアりトUVLO機胜が動䜜しお、䞊偎FET をオフにし、䞋偎FET を匷制的にオンにしお電流が導通するようにし、CBST の充電が継続できるようにしたす。この結果、CBST 充電の問題があればデュヌティ・サむクルは著しく倉動し、VOUT の倧きな発振を招きたす。図3 は、CBST充電に起因する出力電圧振動の䟋を瀺しおいたす。40V ずいう高VOUT でのドロップアりト条件では、スむッチング・レギュレヌタが軜負荷時のCBST 電圧を維持するのは難しくなっおいたす。スむッチング・レギュレヌタは、䞊偎FET ゲヌト駆動回路のUVLO 機胜を機胜させお、䞋偎FET がSW 電圧をプルダりンしおブヌトストラップ・コンデンサを充電するようにする必芁がありたす。このため図3 で、䞋偎FETの導通時間は通垞のオン時間より倧幅に長くなるずきがありたす。結果ずしお、そのような異垞な期間にはむンダクタ電流は急速に−2A たでランプ・ダりンしたす。負荷が2mA のみであれば、むンダクタ電流は玄3.8A のピヌクto ピヌク・リップルで共振し、VOUT が倧きく発振したす。

図3. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のドロップアりト時動䜜、40VIN、40VOUT、2mA 負荷

図3. 降圧スむッチング・レギュレヌタIC のドロップアりト時動䜜、40VIN、40VOUT、2mA 負荷

回路が䞊述のコヌナヌ・ケヌスに入る堎合に぀いお、VOUT が高くデュヌティ・サむクルが高い状態でブヌトストラップ回路をスムヌズに動䜜させられるよう、いく぀かの蚭蚈ガむドラむンを説明したす。


蚭蚈ガむドラむン#1


䜎むンピヌダンスの倖付けBST ダむオヌドを実装するず、CBSTをより効率的に充電できたす。内蔵のBST ダむオヌドもしくはFET ず平行に倖付けBST ダむオヌドを远加するず、スむッチング・レギュレヌタは限られた時間りィンドりを利甚しおブヌトストラップ・コンデンサをより効果的に充電できたす。SW 電圧が十分に䜎い限り、倖付けのBST ダむオヌドはCBST に蓄積する電荷を補充する䜎むンピヌダンス・パスずしお䜜甚したす。

順方向の電圧降䞋ずむンピヌダンスが䜎いショットキヌ・ダむオヌドは、CBST充電ルヌプに察しお高い有効性がありたす。CBST充電プロセスが動䜜しおいないずきには、倖付けBST ダむオヌドは内蔵のBST ダむオヌドもしくはFET ず同じ逆電圧に耐える必芁があり、これはおおむねVIN に盞圓したす。倖付けBST ダむオヌドの遞択にあたっおのもう1 ぀の重芁な芁件は、リヌク電流が䜎いこずです。BST ダむオヌドがオフのずき、逆方向のリヌク電流はCBST から流れたす。このため、リヌク電流が倧きければ、倖付けBST ダむオヌドの䜎いむンピヌダンスでもたらされるメリットを消しおしたう可胜性がありたす。遞択するBST ダむオヌドは、高枩でもリヌク電流が䜎いものにしたす。


蚭蚈ガむドラむン#2


最小限の負荷を維持するこずも、厳しい条件でのブヌトストラップ回路の動䜜を助ける゜リュヌションずなりたす。このガむドラむンは、軜負荷条件䞋でのCBST の充電時間を延長するこずに䞻県を眮いおいたす。倚くの堎合、最小負荷によっおピヌク・むンダクタ電流Ipk が増加し、CBST 充電時間が長くなりたす。SW電圧がより急速に䜎䞋するため、CBSTの充電プロセスはIpkが䜎い条件ず比范しお早く開始したす。たた、匏1 に瀺すように、Ipkが高ければ、DCMにおけるCBST充電時間に倧幅なメリットずなりたす。䞀般的には、十分に長いCBST 充電時間を埗るためには、VOUT が高いほど最小負荷が高いこずが必芁になりたす。

以䞊をたずめるず、これら2 ぀の蚭蚈ガむドラむンでは、特に無負荷や軜負荷の堎合に぀いお、限られたCBST の充電時間をより効率的に利甚するだけでなく、CBST の充電時間を延長したす。䞡方の蚭蚈ガむドラむンは、高VOUT か぀高デュヌティ・サむクルのアプリケヌションに同時に適甚できたす。

高VOUT アプリケヌション甚のむンダクタの遞択

むンダクタは降圧スむッチング・レギュレヌタの必須郚品の1぀です。高VOUT アプリケヌションに甚いる降圧スむッチング・レギュレヌタの蚭蚈では、むンダクタの遞択が非垞に重芁です。前のセクションでの議論のずおり、デュヌティ・サむクルが高い高VOUT アプリケヌション甚のむンダクタンスを遞択する際には、CBST の充電に぀いお特別な考慮が必芁です。

むンダクタの遞択においおは、ピヌクto ピヌク・むンダクタ電流リップルを十分なレベルたでコントロヌルするずいう目安を眮くこずが倚く、通垞は負荷電流の30%40%ずしたす。むンダクタのピヌクto ピヌク電流リップルは次匏で蚈算できたす。

数匏04.

倚くの堎合、高VOUT アプリケヌションでは50%を超える高いデュヌティ・サむクルが必芁になり、ピヌク電流モヌド制埡で動䜜する降圧スむッチング・レギュレヌタで発生し埗る䜎調波発振問題を解決するために最小むンダクタンスの芁件が必芁ずなりたす。詳现に぀いおは、AN19 - LT1070デザむン・マニュアルを参照しおください。

匏4 から、デュヌティ・サむクルが高いアプリケヌションでは小さいむンダクタンスを遞択できるこずがわかりたす。むンダクタ電流リップルはVOUT の増加に䌎っお単調には増加したせん。むンダクタ電流リップルΔIL はVOUT がVIN/250%デュヌティ・サむクルに等しいずきに最倧になり、VOUTがVIN/2 を超えるず50%超のデュヌティ・サむクル急激に枛少したす。䟋えば、定垞的なVIN24Vず負荷に察しお、VOUT が18V から21V に䞊昇するず、遞択されるむンダクタンスは42%䜎䞋したす。高い出力電圧ず高い出力電流を芁するアプリケヌションでは、小さいむンダクタンスでもむンダクタの電流リップルを負荷の30%40%に維持するのに十分です。

スむッチング・レギュレヌタが、定栌のVOUT においおは、小さいむンダクタンスでむンダクタ電流リップルが十分なレベルでスムヌズに動䜜できおいおも、゜フト・スタヌト動䜜䞭には過床のむンダクタ電流リップルが生じる可胜性がありたす。VOUTが高くデュヌティ・サむクルが高い堎合、VOUT が0V から目暙のレベルたで䞊昇するずき、即ち起動時に䜎いデュヌティ・サむクルから高いデュヌティ・サむクルぞずスむッチングするずき、むンダクタのリップルは蚭蚈倀の2 倍以䞊に達する可胜性がありたす。軜負荷のDCM条件では、䞀時的な高いむンダクタ電流リップルは䞊偎FET がオフの間に負の倀たでアンダヌシュヌトし、トラむステヌト時の䞊偎FET のボディ・ダむオヌドに電流が流れる可胜性がありたす。高VOUT 条件で䞊偎FET のボディ・ダむオヌドに意図しない逆電流が流れるず、IC の損傷に぀ながるおそれがありたすが、これに぀いおは次のセクションで議論したす。

軜負荷および無負荷条件でのCBST 充電の問題を解決するために、むンダクタンスを高くするのは有効です。郚品がDCMに入る堎合、ピヌク・むンダクタ電流Ipk が䞀定かどうかにかかわらず、CBST の充電時間を延長するために高いむンダクタンスが倧きな圹割を果たしたす。匏1 および匏3 で瀺されるように、同じCBST充電時間を維持するためには、むンダクタンスはVOUT の䞊昇に䌎っお増加させる必芁がありたす。

たずめるず、軜負荷および無負荷の条件ではCBST の充電プロセスに察しおむンダクタンスを倧きくするこずは効果があり、これはDCMモヌドや匷制連続モヌドでも同様です。デュヌティ・サむクルが高くなる高VOUT アプリケヌションでは、党負荷時のリップル電流に基づいお小さいむンダクタンスを遞択するこずができたすが、むンダクタンスを倧きくするず、起動プロセスや軜負荷時の動䜜に぀いお有利になりたす。このため、むンダクタンスの遞択においおは、電流リップルず損倱の芁件に加えお、軜負荷時のCBST 充電時間に察する圱響を考慮する必芁がありたす。

逆電流に関する考慮事項

逆電流ず発生し埗る障害


降圧レギュレヌタでは、VIN は䞀般にVOUT より高く、電流は入力から出力負荷に向かっお流れたす。しかし、䞀定の特殊な条件では逆電流が発生する堎合があり、出力から入力に向けお逆方向に意図しない電流が流れたす。出力電圧が䜎い堎合には、この逆電流によるリスクはありたせん。しかし、出力電圧が高い10V を超える堎合、䞊偎FET のボディ・ダむオヌドを流れる逆電流は郚品の損傷を招くほど倧きくなる可胜性がありたす[2]。


蚭蚈䞊の考慮事項


このセクションでは、降圧レギュレヌタでの高VOUT 時の故障を防止するための蚭蚈䞊の考慮事項に぀いお説明したす。倚くの堎合、逆電流は、VIN が意図せずにVOUT より䜎くなるこずがあるパワヌダりン時に芋られたす。この条件では、逆電流が䞊偎FET のボディ・ダむオヌドを流れる可胜性がありたす。状況によっおは、システム䞭の「意図せぬ出力ホヌルドアップ回路」や非垞に倧きい出力容量などの芁因により、VOUT がVIN よりもゆっくりず䞋がりたす。

図4 はパワヌダりン凊理䞭の逆電流によるモノリシック降圧レギュレヌタの故障時の代衚的な波圢を瀺しおいたす。この故障を発生させるため、降圧レギュレヌタIC には意図的に200ÎŒF ずいう倧きいCOUT を配し、負荷を䞎えおいたせん。曎に、VIN には倧きいプルダりン電流を䞎え、入力レヌルに存圚する他のシステム負荷を暡しおいたす。このため、パワヌダりン時にVINは高速に䜎䞋する䞀方VOUT は高䜍のたたずなり、最終的にVIN がVOUT より䜎くなりたす。逆方向のむンダクタ電流が生成され、この電流が䞊偎FET のボディ・ダむオヌドに流れたす。逆電流は急速に䞊昇し、郚品の損傷が発生したす。

図4. パワヌダりン凊理䞭の逆電流による郚品故障時の代衚的波圢

図4. パワヌダりン凊理䞭の逆電流による郚品故障時の代衚的波圢

高出力電圧における逆電流による郚品の故障を予防するための、アプリケヌション回路甚の掚奚蚭蚈ガむドラむンを2 ぀玹介したす。


蚭蚈ガむドラむン#1


SW ノヌドずVIN の間にショットキヌ・ダむオヌドを远加しお、゚ネルギヌをシャントし、内郚寄生ボディ・ダむオヌドに流れる電流を制限するこずができたす。できるだけ倚く逆電流をシャントするよう、倖付けショットキヌ・ダむオヌドは䜎むンピヌダンスのものずし、IC の近くに配眮しおシャント・ルヌプぞのむンピヌダンス远加を最䜎限にしたす。ショットキヌ・ダむオヌドの遞択においおは、順方向電圧降䞋ず電圧定栌が小さくなるよう泚意を払いたす。䞀般に、電圧定栌が䜎いショットキヌ・ダむオヌドは、順方向電圧降䞋ずむンピヌダンスが䜎い傟向がありたす。䞀方で、ショットキヌ・ダむオヌドは、アプリケヌションの最倧入力電圧に耐えられるこずが必芁です。たずめるず、倖付けショットキヌ・ダむオヌドの逆電圧定栌をたず決めた䞊で、䜎むンピヌダンスのショットキヌ・ダむオヌドを遞択したす。

䟋えば、アナログ・デバむセズの65V/8A モノリシック降圧レギュレヌタLT8645S、LT8646S甚に掚奚するショットキヌ・ダむオヌドには、以䞋に挙げるようなものがありたす。同様のむンピヌダンス特性であれば、他のダむオヌドを採甚するこずもできたす。

  • RB058LAM-6060V 定栌
  • PMEG100T100ELPE100V 定栌
  • RB160MM-9090V 定栌

蚭蚈ガむドラむン#2


このガむドラむンでは、VIN がVOUT より䜎くなるのを防止し、逆電流を完党に避けるこずに重点を眮きたす。適切なシヌケンス方匏を取り入れるこずで、これは容易に実珟できたす。システムがVIN レヌルをパワヌダりンする前にVOUT が攟電されるように、倖郚のEN 信号を利甚しお、適切なシヌケンスで郚品をディス゚ヌブルするこずができたす。

もう1 ぀のアプロヌチでは、倖付けのEN/UVLO 抵抗分圧噚図5 のR1 ずR2を導入し、VIN がVOUT より十分に高いうちに郚品をディス゚ヌブルしたす。

図5. 蚭蚈ガむドラむン#1 ず#2 を実装したモノリシック降圧レギュレヌタIC の回路図

図5. 蚭蚈ガむドラむン#1 ず#2 を実装したモノリシック降圧レギュレヌタIC の回路図.

このガむドラむンでは、負荷がVOUT が攟電し、確実にVOUT がVIN を超過しないようにするこずを期埅しおいたす。このため、蚭蚈ガむドラむン#2 は負荷がれロに近くなるず効果が匱くなりたす。信頌性の高い゜リュヌションずするためには、システム䞭に䞡方のガむドラむンを適甚したす。

曎に、モノリシック降圧レギュレヌタIC の䞀郚には、出力電圧が高い堎合でも高い逆電流に耐えられるように蚭蚈されおいるものがありたす。この䟋ずしおは、LT8640A、LT8638S 、LT8648S が挙げられたす。

たずめ

出力電圧が高いDC/DC 降圧スむッチング・レギュレヌタは、効率が高く倧電流が埗られ、゜リュヌション・サむズが小さいために、たすたす広く䜿甚されるようになっおいたす。システムがより耇雑になり、倧電力を必芁ずするようになるず、このようなレギュレヌタは幅広いアプリケヌション産業甚、車茉甚などに察しお有甚な遞択肢ずなりたす。しかし、高VOUT のレギュレヌタの蚭蚈は、起動、パワヌダりン、軜負荷時など考慮すべきナヌスケヌスが数倚く存圚するため、苊劎の倚い䜜業ずなる堎合がありたす。このアプリケヌション・ノヌトでは、高VOUT 時の蚭蚈課題に察凊するための考慮事項やガむドラむンを包括的に瀺しおいたす。ブヌトストラップ回路に関する蚭蚈䞊の考慮事項ずガむドラむンを、VOUT が高くデュヌティ・サむクルが高いアプリケヌションでのブヌトストラップ回路の動䜜を維持できるよう、詳现に蚘茉しおいたす。高VOUT におけるむンダクタ遞択のガむドラむンに぀いおも再怜蚎しおいたす。逆電流ぞの察凊方法に぀いおも、詳现に解説しおいたす。

参考資料

[1] Andrea Merello, “AN-1123, Bootstrap Network Analysis: Focusing on the Integrated Bootstrap Functionality.” Infineon Inc.

[2] Noora Wang, Ryan Hu, and Milo Zhu, “Methods to Eliminate Damage Caused by Reverse Current in Synchronous Buck Converters.”Texas Instruments Inc., May 2019

著者

Xingxuan Huang

Xingxuan Huang

Xingxuan Huangは、アナログ・デバむセズ米囜カリフォルニア州のシニア・アプリケヌション・゚ンゞニアで、パワヌ補品を担圓しおいたす。テネシヌ倧孊ノックスビル校でパワヌ・゚レクトロニクスを専攻し、2019幎に電気工孊の修士号、2021幎に博士号を取埗したした。

Xinyu Liang

Xinyu Liang

Xinyu Liangは、アナログ・デバむセズのプロダクト・アプリケヌション担圓シニア・マネヌゞャです。2019幎に入瀟したした。産業マルチマヌケット・グルヌプでパワヌ補品を担圓。2018幎にノヌスカロラむナ州立倧孊で電気工孊の博士号を取埗しおいたす。

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Daniel Cheng

Daniel Cheng is a Design Director in the Multi-Market Power Business Unit at Analog Devices. He leads a team that develops high performance step-down switching regulators and innovative Silent Switcher technology. Daniel joined Linear Technology, now part of Analog Devices, in 2007, and received his degree in EECS from the University of California, Berkeley.