AD4131-8

AD4131-8は、低帯域幅、バッテリ駆動アプリケーション向けの低消費電力、高精度計測ソリューションです。この完全統合型アナログ・フロント・エンド（AFE）には、16のシングル・エンド入力または8つの差動入力まで拡張可能なマルチプレクサ、プログラマブル・ゲイン・アンプ（PGA）、16ビット・シグマデルタ（Σ-Δ）A/Dコンバータ（ADC）、内部リファレンスと発振器、選択可能なフィルタ・オプション、スマート・シーケンサ、センサーのバイアスと励起のオプション、診断、デューティ・サイクルが含まれています。

AD4131-8により、連続変換を行いながら28.5μA（ゲイン = 1）や32.5μA（ゲイン = 128）の消費電流で低周波信号を計測できます。また、デューティ・サイクル・オプションを使用すると平均電流を更に下げることができます。AD4131-8では、8つの差動入力または16のシングル・エンド、あるいは疑似差動入力を構成でき、クロスポイント・マルチプレクサに接続して、任意の入力ペアをPGAやADCの測定チャンネルの入力にすることができます。

AD4131-8は、1.71V～3.6Vの単一アナログ電源電圧で動作するよう設計されています。バッテリを使用するアプリケーションでは、わずか1.71Vでの動作が可能で、バッテリ電圧が低下した場合もAFEが動作を継続できるため、システム寿命が延長されます。デジタル電源は1.65V～3.6Vの範囲で分割できます。

AD4131-8は以下に示す主要なアナログ機能を搭載しており、温度、負荷、圧力の計測に使用される変換器に簡単かつ効果的な方法で接続できます。

• PGA：プログラマブルなゲイン（1～128）と低い入力電流での高入力インピーダンスにより、PGAは、抵抗ブリッジ、熱電対、測温抵抗体（RTD）などの変換器と小さい出力振幅で直接インターフェースを取ることができます。
• 容量性PGAでは、全コモンモード入力範囲が使用でき、設計者は幅広い入力コモンモードを十分に検討できます。コモンモード入力範囲が広いと、全体的な分解能が向上し、レシオメトリック計測には非常に効果的です。
• 低ドリフト高精度の電流源：IEXC0およびIEXC1は、2線、3線、4線RTDの励起電流源に使用します。励起電流の出力オプションには、100nA、10μA、20μA、50μA、100μA、150μA、200μAがあります。
• ローサイド・パワー・スイッチ（PDSW）を使用し、変換と変換の間でブリッジ・センサーをパワーダウンします。PDSWはチャンネルごとにシーケンサ内で制御し、システム全体で最適なタイミングとエネルギーの節約を実現できます。また、消費電力が高めのアナログ・センサーを低消費電力システムで使用する際にもPDSWが役立ちます。
• 熱電対における電圧バイアス（V_BIAS電源によりチャンネルのコモンモード電圧をAV_DD/2に設定）：
• このシーケンサを使用すると、有効化した事前構成済みの各チャンネルを予め指定した順序で変換できるため、変換器、システム・チェック、診断計測を組み合わせてインターリーブすることができます。このシーケンサによって、シリアル・インターフェースを介してデバイスと何度も通信する必要がなくなります。このシーケンサでは16個のチャンネルを構成し、それぞれについて、予め定義された8つのADCセットアップを通じてゲイン、フィルタのタイプ、出力データ・レート、バッファリング、タイミング、リファレンス・ソースを選択できます。

フロントエンド機能を高度に統合し、小型パッケージ・オプションと組み合わせることで、コンパクトなエンド・ソリューションを実現できます。例えば、AD4131-8は、内蔵のバッファを使用した外部差動リファレンスに対応することに加えて、低温度ドリフトのバンド・ギャップ・リファレンスを統合できます。

安全性が不可欠なアプリケーションの場合、AD4131-8は、バーンアウト電流を介した断線検出、内部温度センサー、リファレンス検出、アナログ入力の過電圧／低電圧の検出などの診断機能を備えています。デジタル・インターフェースには、巡回冗長性チェック（CRC）やシリアル・インターフェース・チェックなどの診断機能もあり、信頼性の高い通信リンクを実現できます。

アプリケーション

• スマート・トランスミッタ
• ワイヤレス・バッテリおよびハーベスタ駆動のセンサー・ノード
• 携帯型計測器
• 温度計測：熱電対、RTD、サーミスタ
• 圧力計測：ブリッジ変換器
• ヘルスケア、ウェアラブル