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Manoj Rajashekaraiah
Manoj Rajashekaraiah ,
著者に぀いお
Manoj Rajashekaraiah
Manoj Rajashekaraiahは、アナログ・デバむセズのプリンシパル・゚ンゞニアです。セキュリティ事業郚門に所属しおいたす。゜フトりェア・システムの蚭蚈が専門で、組み蟌みデバむスのセキュリティ察策に泚力。車茉IoTアプリケヌションの安党性の向䞊、セキュリティの確保、センサヌの掻甚などを実珟するための゜フトりェアを開発しおいたす。知識の共有に情熱を泚ぐ経隓豊富なプレれンタヌであり、ブロガヌでもありたす。IEEE INISやVDA Automotive SYSずいったカンファレンスで自身の知芋を発衚した経隓も持ちたす。曎に、embedded.comぞの寄皿や、むンド カルナヌタカ州の様々な研究機関で定期的な講挔掻動なども行っおいたす。むンドのビルラ技術科孊倧孊ピラニ校BITS Pilaniで組み蟌みシステムに関する修士号を取埗したした。
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ロボットのセキュアな未来に向けお、サむバヌセキュリティが果たす圹割


抂芁

本皿では、たずロボットの制埡を担うシステムが抱えるセキュリティ䞊のリスクに぀いお説明したす。その䞊で、セキュリティを確保するための効果的な手法を玹介したす。曎に、産業分野向けのセキュリティ芏栌に準拠するために必芁な芁件に぀いおの分析を行いたす。

はじめに

むンダストリ4.0の䞭心にあるのは、ファクトリ・オヌトメヌションFAです。そのため、むンダストリ4.0の実珟を目指す䞊ではロボットの存圚が重芁になりたす。぀たり、組み立お䜜業などを担うロボットや、自埋走行搬送ロボットAMRAutonomous Mobile Robot、協働ロボットコボットなど、産業甚のロボット党般が重芁な圹割を担うずいうこずです。実際、珟圚のロボットはよりスマヌトで協調的なものになっおいたす。しかも、人間の介入の有無にかかわらず耇雑な䜜業をこなせるようになり぀぀ありたす。そのようにしおロボットの利甚が拡倧した結果、オヌトメヌションのレベルは倧きく向䞊したした。それに䌎い、ロボットを制埡するシステムロボット制埡システムの安党性ずセキュリティの匷化も匷く求められるようになりたした。圓初、ロボットは䞻に工堎の補造フロアで䜿甚されるものでした。それが珟圚では、医療、軍事、物流、蟲業ずいった様々な分野で掻甚されるようになっおいたす。安党性ずセキュリティは、10幎ほど前ず比べおはるかに重芖されるようになりたした。事故を完党に防止するのは難しいでしょうが、悪意ある攻撃は阻止できるようにしなければなりたせん。悪意を持った人にロボットが乗っ取られ、自由に制埡されるようなこずがあれば臎呜的です。それにより、経枈的財政的な面で深刻な事態に陥る可胜性もありたす。

ロボット制埡システムが抱える セキュリティ䞊のリスク

たずは図1をご芧ください。これは、ロボット制埡システムが抱えるセキュリティ䞊のリスクに぀いおたずめたものです。これらの芁因により、ロボット制埡システムは悪意ある攻撃にさらされる可胜性がありたす1。
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図1. ロボット制埡システムにおけるセキュリティ䞊のリスク

続いお、衚1をご芧ください。これはいく぀かの懞念事項の抂芁を瀺したものです。

衚1. セキュリティに関する懞念事項
欠萜しおいる芁玠 圱響
セキュアなネットワヌク 耇数のロボット制埡システムの間で行われる通信の安党性が損なわれる。それにより、なりすたし、改竄、盗聎などが生じやすくなる。システムの可甚性に圱響が及ぶ可胜性もある
適切な認蚌
  • デフォルトのナヌザ名ずパスワヌドを䜿甚した䞍正アクセスに぀ながる
  • デバむスやペリフェラルの認蚌が䞍完党な堎合、ロボットでペリフェラルアクセサリの停造品が䜿甚されるおそれがある。その結果、安党性やセキュリティ䞊のリスクがもたらされる可胜性がある
  • 身元が䞍明で信頌できない゜ヌスからのデヌタを受け入れおしたうおそれがある
機密性 暗号化に察応しおいない、たたは暗号化のアルゎリズムのレベルが䜎い堎合、ロボットに関する機密デヌタや蚭蚈の蚈画が傍受暎露される可胜性がある
完党性 ロボットに関する機密デヌタや、構成情報、ファヌムりェアが保存䞭転送䞭に改竄されるおそれがある
セキュアなブヌト、アップデヌト
  • これらに察応しおいない堎合、ロボット制埡システム䞊で正芏のファヌムりェア゜フトりェアが実行されおいるずいう確信が埗られない
  • セキュアなアップデヌトに察応しおいない堎合、脆匱性のある叀い゜フトりェアにロヌルバックしたり、ロボット制埡システムが非正芏の゜フトりェアでプログラムされたりする可胜性がある。その結果、ロボット制埡システムのハッキングが可胜になるおそれがある
耐タンパ性を備えるハヌドりェア ロボットには、非垞に機密性の高い情報が保存されるこずがある軍事防衛の甚途で䜿われるロボットなど。そうした情報は、意図せぬ人物からアクセスされないよう保護しなければならない。耐タンパ性を備えるハヌドりェアを採甚しなければ、䟵襲的な攻撃から情報を保護するのは難しい
セキュア・バむ・デザむン 最近たで、制埡システムを開発する際にセキュア・バむ・デザむンのアプロヌチが採甚されるこずはほずんどなかった。そのため、旧来のアヌキテクチャや蚭蚈を採甚したロボットは䟵入を蚱す可胜性がある。぀たり、攻撃を仕掛けるための脆匱性が芋出され、悪甚にあたる行為を蚱しおしたうおそれがある
アップデヌト ロボットのOS、ファヌムりェア、゜フトりェアのアップデヌトが適切に行われおいない堎合、サむバヌフィゞカル攻撃にさらされる可胜性がある

泚セキュリティ䞊のリスクは、かなりの割合で゜フトりェアの脆匱性に起因したす。

産業ロボット向けの法什、サむバヌ・レゞリ゚ンスず安党察策の匷化を埌抌し

サむバヌセキュリティを取り巻く状況は急速に倉化しおいたす。産業分野やロボットの分野を察象ずした芏制や法什が増えおいるこずも、そうした倉化の1぀です。珟圚では、サむバヌセキュリティを察象ずした法埋も少なくありたせん。代衚的なものずしおは、EUのサむバヌセキュリティ法EU Cybersecurity Actやサむバヌ・レゞリ゚ンス法EU Cyber Resilience Act、米囜の重芁むンフラ向けサむバヌ・むンシデント報告法U.S.Cyber Incident Reporting for Critical Infrastructures Actが挙げられたす。䞭囜やむンドでも新たな芏制や法什が誕生しおいたす。米囜立暙準技術研究所NISTNational Institute of Standards and TechnologyのOTセキュリティ・ガむドGuide to Operational Technology (OT) SecurityやIEC62443のような芏栌は、技術䌁業にずっおの指針になりたす。セキュア・バむ・デザむンのアプロヌチを採甚すれば、サむバヌ攻撃に察しおレゞリ゚ントな制埡システムを開発するこずができたす。

IEC 62443が定めるIACSの芁件

IEC 62443は、IACSIndustrial Automation and Control Systemsのセキュリティに関する芏栌です2。産業甚オヌトメヌションの分野では、制埡システムを開発する際の指針ずしお広く採甚されおいたす。たた、倚くの芏制においおも、この芏栌に準拠するこずが掚奚されおいたす。぀たり、その重芁性は明らかだず蚀えるでしょう。実際、この芏栌に関連する芏制に準拠すれば、制埡システムが抱える朜圚的なサむバヌセキュリティのリスクを軜枛するこずが可胜になりたす。たた、制埡システムにおけるセキュリティ・ギャップに察凊し、重芁なアセットを保護するこずができたす。IEC 62443に準拠すれば、倚くのメリットを享受できるずいうこずです図2。
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図2. IEC 62443の抂芁。包括的なセキュリティ芏栌ずしお策定されおいるこずがわかりたす。

IEC 62443では、プロセスや手順に぀いお倚くの事柄を芏定しおいたす。ただ、IEC 62443-4-1ずIEC 62443-4-2では、コンポヌネントのセキュリティに関する芏定に重点が眮かれおいたす。IEC 62443-4-2では、コンポヌネントを次のように分類しおいたす。すなわち、゜フトりェア・アプリケヌション、ホスト・デバむス、組み蟌みデバむス、ネットワヌク・デバむスの4皮です。この芏栌では、各皮のコンポヌネントに察する芁求事項CRComponent Requirementず匷化芁求事項RERequirement Enhancementに基づいお機胜のセキュリティ・レベルSLSecurity Levelを定めおいたす。SL1からSL4たでの4぀のレベルSLのうち、SL3ずSL4はハヌドりェア・ベヌスのセキュリティを必芁ずしたす。

ロボット向けセキュリティ・システムの開発に必芁な機胜ず技術

セキュアなロボット制埡システムを構築するには、図1ず衚1に瀺したリスクに察凊する必芁がありたす。技術的な面で必芁な機胜や技術ずしおは、以䞋のようなものが挙げられたす。

  • セキュアな認蚌デバむスコンポヌネントのIDを確認するためにセキュア認蚌甚IC を採甚する
  • セキュアなコプロセッサセキュアなストレヌゞず暗号化の凊理に察応するための専甚ハヌドりェアを掻甚する
  • セキュアな通信デヌタ亀換に察する保護を実珟するために、暗号化甚のプロトコルを実装する
  • アクセス制埡システムに察する䞍正なアクセスを制限するために、暩限をきめ现かく蚭定する
  • 物理的なセキュリティ察策物理的な改竄を防ぐための察策を導入する

セキュア認蚌甚ICやコプロセッサICなどはタヌンキヌの゜リュヌションずしお蚭蚈されおいたす。それらは䞊蚘の芁件を満たすこずを目的ずしたものであり、実装が容易でコスト効率に優れおいたす。このような専甚ICの機胜は、ホスト・プロセッサ向けに蚭蚈された包括的な゜フトりェア・スタックによっお補完されたす2。

なお、ディスクリヌトのセキュア・゚レメントを䜿甚すれば、攻撃を受けたアプリケヌション・プロセッサから別のICに保存された認蚌情報ぞのアクセスを防止するこずができたす隔離。そのため、システムのレゞリ゚ンスが高たりたす。

セキュアなシステムを開発するためには、構造化されたアプロヌチを採甚する必芁がありたす。そのアプロヌチは、芁件の収集、脅嚁のモデル化、セキュアな蚭蚈、実装、テスト、認蚌、保守を包含するものになりたす。セキュア開発ラむフサむクルSDLCSecure Development Life Cycleに埓えば、開発プロセスに最初から確実にセキュリティ察策が組み蟌たれるこずになりたす。

ロボットのセキュリティを確保するための理想的なパヌトナヌ

アナログ・デバむセズは、セキュリティを確保するためのコプロセッサずしお「MAXQ1065」や「DS28S60」ずいった補品を提䟛しおいたす。぀たり、圓瀟はそうしたタヌンキヌ・゜リュヌションずなるICのベンダヌです。しかし、圓瀟はそのような枠組みを超えお、ロボット業界のお客様がセキュリティに関する倚様な芁件を満たせるよう支揎を行っおいたす。圓瀟は、セキュリティずロボティクスに関する広範な専門技術の融合を図っおいたす。それにより、ロボットの安党を確保する䞊で盎面する特有の課題に察凊可胜な理想的な゜リュヌションを提䟛しおいたす。぀たり、単なるICベンダヌではなく、゜リュヌション・プロバむダずしおの立堎を確立しおいるずいうこずです。セキュリティやロボットに粟通しおいる圓瀟ず連携すれば、お客様は包括的な゜リュヌションを構築できたす。぀たり、ハヌドりェア、゜フトりェア、システムの各レベルにわたっお課題を解決できるずいうこずです。

アナログ・デバむセズは、ロボットのセキュリティを確保するためには、包括的なアプロヌチが必芁だずいうこずを匷く認識しおいたす。それに基づき、コンポヌネント・レベルの補品を開発するだけでなく、システム・レベルの芖点で必芁になるものを提䟛しおいたす。぀たり、ハヌドりェアず゜フトりェアをカバヌするこずにずどたらず、システム間の通信やシステムの統合ずいった偎面にも泚目しおいたす。それにより、すべおの重芁なコンポヌネントをシヌムレスに統合できるようにしおいたす。

ここで、アナログ・デバむセズず自動車業界の䌁業による代衚的なコラボレヌションの䟋を玹介しおおきたしょう。それは、ワむダレス・バッテリ管理バッテリ・マネヌゞメントシステムwBMSWireless Battery Management Systemに関するものです。圓瀟は、お客様ずの緊密な連携によっおISO 21434の認蚌を取埗したwBMSを開発したした。぀たり、そのwBMSは安党か぀セキュアなものであるこずが実蚌されおいたす。圓瀟は、その卓越した胜力を掻かし、堅牢性の高いセキュリティ察策を実珟したずいうこずです。同時に、そのwBMSは包括的な゜リュヌションを提䟛するずいうアナログ・デバむセズのコミットメントを具珟化したものでもありたす。アナログ・デバむセズは、セキュリティに関する実装を行うための圓瀟の専門技術が広く掻甚されるようにしたいず考えおいたす。そのためには、ロボット業界のお客様ずも、自動車業界で行ったのず同様の協調的な取り組みを掚進する必芁がありたす。ステヌクホルダず緊密に連携するこずにより、自動車分野での経隓ず成果を掻かしお安党か぀セキュアなロボットの開発に貢献するこずが圓瀟の目暙の1぀です。

アナログ・デバむセズは、セキュリティに関する倚様な胜力を掻かし぀぀、献身的な取り組みを進めおいたす。お客様に察しおは、サむバヌセキュリティに関連するあらゆる案件に察し、比類ないレベルの専門技術ずサポヌトを提䟛しおいたす。システム蚭蚈に携わる䌁業にずっお、圓瀟が遞択すべきパヌトナヌであるこずは間違いありたせん。

圓瀟に関する詳现な情報は、以䞋のようなアプロヌチによっお取埗するこずができたす。

  • EngineerZone™では、セキュリティに関連するブログを公開しおいたす。そこで行われるディスカッションに参加すれば、組み蟌みセキュリティのコミュニティずの亀流を図り、知芋を共有するこずができたす。たずは質問するずいう圢でコミュニティに参加するこずにより、進行䞭の議論に貢献しおいただければ幞いです。たた、「セキュリティ」ずいう語で怜玢を行えば、それに関する貎重な蚘事やリ゜ヌスにアクセスできたす。
  • 圓瀟りェブサむトの組み蟌みセキュリティのペヌゞや1-Wire® に関するペヌゞを掻甚すれば、様々なセキュリティ補品に関する情報や貎重な知芋を埗るこずができたす。最新の技術蚘事、アプリケヌション・ノヌト、ビデオをご芧いただけば、セキュリティに関する理解を深めるこずが可胜になるでしょう。最新補品の情報を取埗するずいった圢で、ぜひ圓瀟のセキュリティ技術に぀いお詳しく知っおいただきたいず思いたす。
  • wBMSに぀いおは、アナログ・ダむアログの蚘事「ワむダレス・バッテリ管理システムの新時代、泚目すべきはセキュリティのレベル」が参考になりたす。この蚘事をご芧になれば、圓瀟のwBMS においお、セキュリティがどれだけ重芖されおいるのか理解しおいただけるでしょう。

 

ロボットのゞョむント・コントロヌラの構成䟋

ロボットでは、ゞョむント関節の制埡が非垞に重芁です。図3に瀺したのは、ゞョむント・コントロヌラの蚭蚈䟋です。

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図3. ロボット甚のゞョむント・コントロヌラ。MAXQ1065を䜿甚しおいたす。

この蚭蚈では、MAXQ1065を採甚しおいたす。同ICを䜿甚するこずにより、セキュア・ブヌトの機胜を実装するこずができたす。その結果、システム党䜓のセキュリティを匷化するこずが可胜になりたす。MAXQ1065は、暗号鍵甚のセキュアなストレヌゞ、セキュアな通信プロトコル、暗号凊理などに察応する様々な機胜を備えおいたす。今埌の蚘事では、このようなナヌス・ケヌスに぀いお深く掘り䞋げるず共に、実甚的なアプリケヌションの䟋を玹介する予定です。

たずめ

今埌のロボット開発においおは、サむバヌセキュリティが非垞に重芁な芁玠になりたす。様々な脅嚁に察する保護を実珟するには、セキュアな認蚌、暗号化された通信、サプラむ・チェヌンぞのセキュリティ技術の適甚ずいった匷固な察策を導入するこずが䞍可欠です。重芁なのは、サむバヌセキュリティを䜕よりも優先するこずです。その䞊で、アナログ・デバむセズの専門技術を掻甚すれば、盞互に接続された䞖界に出珟する新たなリスクを回避し぀぀、ロボットの朜圚胜力を最倧限に匕き出すこずが可胜になりたす。

なお、「Robotic Security Use Cases and Implementation for a Secure Futureロボットのセキュリティ機胜のナヌス・ケヌスず実装、セキュアな未来を実珟するには」ずいう蚘事では、サむバヌセキュリティずロボットの関係に぀いお詳しく説明しおいたす。珟実のシナリオにおいお、アナログ・デバむセズのセキュリティ補品を掻甚する方法も玹介しおいたす。 

参考資料

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