わずか6.25mm×6.25mmの20V入力12A/15A μModuleレギュレータ
はじめに
LTM4626とLTM4638は、3.1V~20Vの電圧からそれぞれ12Aと15Aの連続出力電流を供給できる高効率の降圧μModule®レギュレータです。これらのデバイスは、CoP(Component on Package)と呼ばれる革新的な3Dパッケージング・アセンブリが特長で、µModuleデバイスの上面にインダクタが実装されています。インダクタの質量は比較的大きいので、これを直接空気に露出させたり従来型のヒートシンクに取り付けたりすることでMOSFET内部から効果的に熱を放出し、これらの小型パッケージを迅速かつ効率的に冷却することができます。他のレギュレータでは出力を下げなければならないような場合でも、これらのレギュレータは全負荷状態で出力を供給することが可能です。例えば、どちらのレギュレータも75°Cの周囲温度と200LFMの空気流量の条件下で、12V入力から1Vの出力を全負荷状態(12Aまたは15A)で生成できます。
これらのデバイスは電流モードのDC/DCレギュレータとして動作するので、複数デバイスを並列に接続して、より大きい負荷電流を容易に分担させることができます。並列レギュレータは、異なる位相で動作させることで入力リップルと出力リップルを減らすことができます。その方法は、複数デバイスの出力クロック・ピンと入力クロック・ピンを接続するだけです。ライン、負荷、温度(−40°C~+125°C)の変化に対して確保されている総合出力電圧DC精度は、±1.5%です。また、大電流時に寄生インピーダンスによって生じる電圧降下を補償するために、LTM4626とLTM4638にはリモート検出機能が組み込まれています。出力電圧トラッキング機能とソフトスタート機能は、電源シーケンシングのカスタマイズを可能にします。スイッチング周波数は、単純な外付け抵抗で400kHz~3MHzの範囲に設定するか、外部クロックに同期させることができます。ピン配置は、LTM4626とLTM4638で同一です。

図1. LTM4638とLTM4626は出力電流が異なりますが、ピン配置は同じです。
12V入力1V出力のオールセラミック・コンデンサ・ソリューション
全体的なソリューション・サイズを最小限に抑え、入力コンデンサと出力コンデンサをPCBの裏面に配置可能なオールセラミック・コンデンサ設計を図3に示します。この設計はLTM4638の組み込み機能を生かして、図2に示すように回路サイズを最小限に抑えています。DC2665Aデモ回路を使用した場合の種々の条件下における熱性能を図4に、効率を図5に示します。

図2. LTM4638を使用したDC2665A-Bデモ・ボード上の小型15ADC/DC µModuleレギュレータ・ソリューション。写真には入力コンデンサと出力コンデンサが示されていますが、他に数個のセラミック・コンデンサと抵抗がボード裏面に配置されています。

図3. セラミック・コンデンサと最小限の部品のみを使用したLTM4638ベースの12V入力、1V出力、600kHzソリューションの簡略回路図。フローティング状態のピンは表示されていません。

図4. ここに示す0LFMの場合と200LFMの場合の比較によって、エアフロー冷却とCoP設計の組み合わせが、12V入力、1V 15A出力で動作するLTM4638の熱性能に有効であることは明らかです。

図5. 12V入力、1V出力、600kHzで動作するLTM4626とLTM4638の効率。

図6. DC2665A-Aデモ・ボード上のLTM4626。
まとめ
6.25mm×6.25mmのLTM4626(12A)およびLTM4638(15A)μModuleレギュレータは、熱効率の良い小型のパッケージで高出力を提供します。CoP構造はインダクタを露出させてヒートシンクとして利用し、迅速かつ効率的な冷却を実現します。コンパクトなレギュレータ・ソリューションを完成させるために必要な追加部品はごくわずかです。また、大きな負荷に対しては複数のデバイスを並列接続して、より高い電力密度のソリューションを簡単に作り出すことができます。